現実世界 一話
目の前に立つ女の子はメイド服を着ており、お城でメイド長でもしてそうな雰囲気を出していた。
「おはようございます刹那様。本日から刹那様の奴隷兼メイドとして仕わせていただきます。冥夜華奈です。今後宜しくお願いします。」
「………」
その女の子は…クラスメイトでした。
「きりーつ!気おつけ、令!」
『おねがいしまーす。』
号令と同時に席に座り、すぐさまグーグーと眠る。
(何故眠るのか?正直いっていらん授業だとおもっているから)
実際今から行う授業は新学期になり新しい役割を決めるための授業でクラスの盛り上げ役達が仕切る授業だ
俺は特にやりたくないものは無いしかと言って無理にでもやりたいものもない。だから余り物でいいと眠ることにした。
「……………刹那君……刹那君…」
「…ん?………」
突然に隣の席の女の子から声をかけられ、身体を起こす。
「えっと…なにか用かな?」
「いや…今授業中だよ?起きてた方がいいと思って………余計なお世話だったかな?ごめんね?」
「え、あ、いえ…大丈夫です……はい…こちらこそすいません…」
ぺこりと頭を少し下げこちらも謝る。
その時少し周りに違和感を感じ、周りに目を向ける…
視線
視線
視線
周りからは視線の数々が向けられており、俺が寝ていたからか皆が黙ってこっちを向いていた。
「えっと…すいませんでした?」
またもやぺこりと頭を下げ、先生に謝る。
すると皆は前を向き先生の進めるぞーと言うの言葉でまた騒がしくなり授業が進む。
(あぁ、やだやだ。人からの視線とかって嫌いなんだよなぁ。)
僕は人との会話や仲良くなることは嫌いではないが、相手の性格によって喋りたくない人とは極力話さないようにしている。その性格は今の世の中のほとんどの人に当てはまるため、このクラスには一人もいない。
つまりぼっちだ。気を使って話しかけてくる人はいるが「へぇ、」など「確かにね?」とかしか返事をしていないためその相手は話しかけてこなくなる。
この頃は俺を嫌って気持ち悪がってる人もいるようだが気にしてもいない…
俺は自分で精一杯イケメンだ、と思いながら自分を見ても普通より下の顔に見える、実際は髪で顔を隠しており、目は見えていない。
髪を切れよと言ってくる知り合いもいるが、床屋や美容室の人と喋りたくないので行っていない、自分で切ろうかと思ったが、はっきり言ってどう切れば良いのか分からなく結局切っていない。
いつの間にか授業が終わりの近くになっていた。
どうやらクラス委員が決まらないようだ。
「誰かやってくれる人いない?」
前で仕切ってるクラスメイトが言う。まぁだが、自分から面倒事をやりたい人はいないようで誰も手を挙げない。
「この時間に決まらないんだったら後で先生が勝手に決めるぞー?」
そう先生がいう。
すると生徒のひとりが多数決で1度決めてみない?と提案した。するとクラスメイトはいいね。と賛成しいっせーので、全員がある生徒を指さす。
「私ですか?」
教室の端の真ん中の席に座っている女に全員の指が指される。(俺を抜いて)
それに反応して女が席を立ち皆に問う。
「うん!冥夜さん。しっかりしてるし成績もいいでしょ?」
「…分かりました。やらせてもらいます。」
そういいすっと、席に座る。
すると先生がそうかそうかすまんな。と元々手にもって準備していた名簿に冥夜の名前を書き込んでいく。
(元々冥夜さんにやらせるつもりだったな、あれ)
冥夜さんは、クラスで人気の美少女で、クールな一面で注目を集められている生徒だ。本名は冥夜華奈といい、本人はそんな自覚もなしに余り人と喋らないでいるため、友達は少ないようだ。
(確か何人か降ったんだったな?誰かが話してたな?)
冥夜は数人の男からの告白を断り続けていた。そのため冥夜を陰から見て憧れている男女が多く、この頃では告白をせずに見守っている人が増えたとか。
こんなことを考えている俺、彩美刹那だが、今後この美少女の子冥夜とあんな関係になるなんてその時思いもしなかった。