告白された
上上手取は、朝陽のあたる公園 が舞台で『指輪』が出てくる告白する話を1000文字以内で書いてみましょう。持ち時間は一時間。
「好きです! 付き合ってください!」
ある日朝も早くから公園に呼び出されたかと思ったら唐突に告白された。しかも指輪を携えて。ばっかじゃないの。
相手のことをよくよく見ればふむ……顔は悪く無い。身なりも整っていて好印象を受ける、プラス一〇点。
返事をせず観察を続けているとまったく微動だにせず身体を垂直に折り曲げた姿勢のまま固まっている。面白く無いのでマイナス二〇点。このまま何も言わずに立ち去ったら面白いかも。
「はぁ……好きって言われても私あなたのこと全然知らないんだけど」
そう返すと相手は愕然とした表情でその場に崩れ落ちた。
「茜姉ちゃん! 俺のこと忘れちゃったのかよ!」
茜姉ちゃん? そんな言い方をするのは故郷に残してきた弟分の幸宏しかいない。え? うそ。あのはなたれ小僧が目の前にいるこいつ?
うわ~変われば変わるものねぇ~。全然気づかなかったわ。まぁそれはそれとして、
「で、今回の茶番劇はどういうつもり?」
私は朝も早くから呼びだされたことに若干腹を立てていた。眠い、今日のためにいつもより二時間早く起きて気合入れてメイクしてやってきたというのに相手がこいつだなんて。はぁ~時間損した~。
「え、だって約束……ほら、これ」
そう行ってさっき差し出された指輪を私に見せる。随分と安物……っていうかおもちゃじゃないのこれ。
……どうやら私は小さい頃にこいつと結婚の約束をしていたらしい。まったく思い出せないが。で、こいつは自分の将来が軌道に乗ったから私を迎えに来たらしいんだけど……
「そこは普通、”結婚してください”でしょう。なんで普通の告白になってるのよ」
「それは、えっと、その、ごめん」
何でもこいつは最後の詰めでヘタレたらしい。
ん~王子様には程遠いけど迎えに来てくれたってシュチュにはちょっとキュンとしちゃった。
「いいわよ、それじゃああなたの言ったとおりお付き合いからはじめましょう」
私だって結婚は考えないわけではないけどね。でももっといい出会いがあるかもしれない。幸宏には悪いけど、しばらくキープ君になってもらうわね。
初の女性視点。しかも告白する話じゃなくて告白される話しだし