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夜の電話

上上手取は、真夜中の部屋 が舞台で『携帯電話』が出てくるラブコメな話を2000文字以内で書いてみましょう。持ち時間は一時間。

 夕食を食べてお風呂に入りパジャマになった私は自室のベッドにごろりと横になる。手には買ってもらったばかりの携帯電話。眺めるのは今日交換したばかりの連絡先の欄。


――かけちゃおっか? 迷惑じゃないかな?


 毎日の予習復習はかかさずやっている。そう言っていた彼のことを思い出し私は身悶える。


――声が聞きたい。おしゃべりがしたい。


 そんな自分の欲求と勉強をしている彼の迷惑になるんじゃないか? という葛藤がない混ぜになって処理しきれなくなった感情はため息となって肺から溢れでた。


――ピルルルル……ピルルルル……


 そんな私の虚を突くように携帯電話がけたたましく音を立てる。思わず取り落としそうになったそれを見てみると相手は私が声を聞きたくてたまらなかった彼のからだった。


「こんばんわ、咲夜(さくや)さんのお宅でしょうか?」


 幾分緊張した声色で発せられた内容は携帯電話にかけたとは思えないほど堅苦しいもので。


「ぷっ、くっくく。(あきら)くん、これ私の携帯電話だよ?」


 こらえきれず笑い声が漏れてしまう。「あ、そ、そうだったな。あはは」とどこか気まずそうに声を上げる明くん。


「私もちょうど明くんに電話しようと思っていたところなんだ」


 彼の方からかけてきてくれたことでいくばくかの精神的余裕を持つことができた私は余裕を持ってそう答える。…………うそだ。さっきから心臓はドキドキしっぱなしで心なしか頬も熱を帯びている。顔が見えるわけでもないのに電話口から聞こえてくる声からその表情がありありと想像できて。私の声は心なしか、いや相当に上ずっていた。


――――――――


 はじめての携帯電話でのおしゃべりはそれはもうひどいものだった。お互いに緊張しっぱなしで部屋の外でこっそり様子をうかがっていた妹いわく「まるでお見合いみたい」だそうだ。

 妹には罰として明日私が作るおやつを減らす旨を伝えたら泣いて謝られた。余裕ができた分明くんに持って行ってあげたかったんだけどなかなかうまくはいかないね。


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