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厨二発言は周りを確認してからね

上上手取は、真夜中の公園 が舞台で『傘』が出てくるノンビリした話を3000文字以内で。持ち時間は一時間。

 pipi~pipipihu~


 なれない口笛を口ずさみながら自動販売機で買った缶コーヒーのプルタブを開ける。カチリという心地よい音とともに周囲に香ばしい香りが漂い始める。さっきまで降っていた雨はなりを潜め俺はさしていた傘を折りたたみコーヒーを持つほうとは逆の手で携えている。

 時間は真夜中。公園に備え付けられて証明がスポットライトのように俺の周囲を照らしだす。そのさまはさながら舞台の上のスポットライトのようで俺はコーヒーを飲み干すと傘を剣に見立てて正面を睨みつけた。


「ふっ、まさかこの世界に蘇っていようとはな。……魔王セイキュール!」


 何もない正面に語りかけるも何もないのだからなんの反応も示すはずがない。


「どうやらこの俺のことが恐ろしくて声も出せないと見える。どうやら見抜いていたようだな……この俺が勇者セバスの生まれ変わりだということに!!」


 いつの間にか声を大きくしていたことに気づき途中から声を潜めこのどうしようもない寸劇の続きを再開する。


 俺は何もない虚空に向かって傘を一振りするとそのまま流れるように剣をしまう動作につなげる。


「せめて安らかに眠れ……聖剣アンブレラの導きとともに……」


―――――――――


 うっは、はずかしー。我ながらないわー。意識を通常モードに戻して俺は一人身悶えた。なにが聖剣アンブレラだよ。ただの傘ですこれ。


 今の一連の寸劇を中二病と人は言う。だがちょっとまってほしい。時には普段の自分とは違う自分になりきるのもこの疲れきった社会には必要なのではないだろうか? つまり中二とは癒やし! ……なんつって。


 少し徹夜続きで頭がゆだっていたようだ。帰ったら冷蔵庫のプリンを食べておもいっきり寝よう。そう、頭のメモ帳に書き記すと俺は真夜中の公園を後にした。


――――――――


 ピーンポーン


 ドアのチャイムが鳴らされる。ん~今何時だ? 夕方の4時ぐらいか。学校に通っていたらちょうど下校時刻ってところだな。窓から聞こえる学生たちの声を聞きながらそんなことを考える。


 ピーンポーンピーンポーン


「あーはいはい。いま出ますよ」


 ったく、一体どこの誰だ? 荷物が来る予定はないし大家かな。あのオッサン相手なら今のトランクス姿でも問題無いだろう。そう考えて俺は玄関の扉を開く。するとそこには……


「ようやく会えました勇者セバス。世は暗黒の時代を迎え新たな魔王が次々と生まれようとしています。さぁ、私達と一緒に魔王討伐の旅に旅立とうではありませんか!」


 なんか痛い格好をした女子中学生が二人いた。制服を改造しているのかいつも見るこの辺りの中学の制服とはその装いが異なっておりそれに加え一人はマント、もう一人は水着だろうか? なんかビキニを制服の上から着込んでいた。


「間に合ってます」


 ひとしきりその容姿を眺めた後俺は静かに扉を締めた。……ふたりともむっちゃ美少女なんだけどそこはかとなく残念なオーラを漂わせている。俺の勘が告げている。こいつらに関わるとろくな事にならないと。


「あ~ちょ~ちょっと待ってください! 扉閉めないで~ ほら、梅ちゃんも一緒に扉を閉めるの止めて」

「え~わざわざそんなことしなくても大丈夫だよ華夏ちゃん。私たちはこの扉の前でこう叫べばいいんだよ。えっとね……ゴニョゴニョ」


 片方の女の子の提案で抵抗がやんだ扉を閉め俺はほっと一息つく。一体あいつらは何なんだ? 勇者がどうこう言っていたが……まさか昨晩のやり取りを見られていたのか? ふっ、まさかあれを見られているとはな……場合によってはその存在を抹消することも考えねばなるまい……ってそうじゃねぇよ。

 見られていたとして困ること……特にないな。せいぜい俺が恥ずかしいくらいだ。なにを言われても知らぬ存ぜぬを貫き通せばいい。

 そんなことを考えていると唐突にその叫び声は発せられた。


「きゃ~ちかんよちかんがでたわ~」


 白々しいほどの棒読みで大声があげられる。ふん、痴漢に襲われているという狂言で俺を助けに入らせるつもりか。悪いがそんな手には乗らないぜ。


「きゃ~、いたいけなびじんじょしちゅうがくせいのまえにとらんくすいちまいでちかんがあらわれたわ~だれかたすけて~」


 なおも続けられる狂言にやれやれ吐息をつきながらふと自分の姿に目が行った。

 Tシャツにトランクス一枚。外に出た痴漢は? トランクス一枚……って俺のことか!


「まて! まてお前ら! 着替えてから中に入れてやるからその叫び声を今すぐやめろ!」


 その声を発した途端外から聞こえるハイタッチの音。ぐぬぬ、たかが中学生にいいように弄ばれるとは!


 これが俺と華夏(かなつ)梅姫(うめき)の出会いである。この時はこいつらが高校に上がった後もここをたまり場にし来る人数もこいつらと同じレベルの美少女が後三人も増えるだなんて想像もつかなかった。






お題に沿えてなくても委員会

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