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別れ

上上手取は、真夜中の公園 が舞台で『涙』が出てくるバトルする話を3000文字以内で書いてみましょう。持ち時間は一時間。

 今日は本当に何もない一日だった。いつものように界魔の襲撃もなく俺をめぐって女の子同士がギスギスするということもない。


 俺について説明するならば異世界から侵略してくる界魔と人知れず戦うエージェント、後なぜか知らんが女の子たちに好印象でもてもてでそれらのトラブルになぜか巻き込まれる不幸な男といったところだ。


 だが、ちょっとまってほしい。女の子たちは俺をめぐって争っているが俺にはすでに意中の人がいるのだ。七星(ななほし)春美(はるみ)。ちょっとおっちょこちょいなのが玉に瑕。俺が幼い頃に近所に引っ越してきてからの付き合いでいわゆる幼なじみというやつだ。


 今日はそんな春美とデートをした。なにもないといったがこうやって一緒に出かけるのはもはや日常とかしているので取り立てて騒ぐものでもない。それに乱入してくる取り巻きの女の子たちがいなかったこととの方こそいつもと違うおかしいことといえる。


 そう、本当に何もない一日だった。だから心の何処かで油断していたのだろう。夕方になり公園を通っていると黒ずくめの男が俺たちの前に立ちふさがった。


「ヲマエがザンマのニビタロウカ?」


 斬魔。いつの間にか俺につけられた二つ名。どんな界魔も一撃のもとに切り伏せることからこう呼ばれるようになったらしい。


「だとしたらどうすると言うんだ?」


 そう答えながら春美とともに人よけの結界を構築してゆく。相手はその奇抜なファッションを除けば普通の人間に見える。今まで出会った界魔はすべて不定形な魔獣と行っていいような姿形だった。俺と実力勝負をしたいというエージェントならまだいい。だが会話を仕掛けてきたことからわかるようにもしも知性を持った界魔の上位個体だとしたら? 久しぶりに手応えのある戦いが楽しめるかもしれない。俺は異界に収納してある獲物を取り出そうとして……


「にいさん……もしかして、ヨウ兄さんなの?」

「オマエハ……モシヤ、ハクカ!」


 春美とその男とのやり取りを聞いて取り出しかけた手を止めた。


――――――――


 時間は真夜中、場所はさっきの男と出会った公園だ。


 春美とあの男は俺の聞いたことのない言語で幾度か言葉をかわすとその場をひいた。もっとも今現在こうしているように「春美に免じてここは引くが真夜中に再びこの場所で待つ」と言い残していたらしい。春美にどうゆうことかとの説明を求めたが「ごめんなさい」と謝ったきり口をつぐんでしまった。


 界魔との戦闘は基本二人一組のツーマンセルで行う。今回俺はパートナーに春美を指名した。何やら因縁がありそうだったしもし秘密を持っていたとしても内々に処理できればそれに越したことはない。なんてったって俺の惚れた相手だ。いざとなればこの世界すべてを敵に回してでも守ってやるさ。


 しばらく待っていると夕方に出会った男が現れた。俺はまず春美にすべてを任せることにする。「いいの?」と聞いてきたが「任せる」といって送り出した。その時の春美は済まなさそうなそれでいて嬉しそうな、でも何かを覚悟したような、そんな表情をしていた。


 暫くの間二人の話し合いは続いた。もっとも俺には理解できない言語なので内を行っているのかはわからないわけだが。


「……そんな……どうしてわかってくれないの?」


 そう言って春美の眼から涙がこぼれ落ちる。それと同時に構えを取る相手の男。


「後は……お願いします……」


 春美はそう言って俺の一歩後ろに下がった。春美は決して弱いというわけではないのだが俺の戦闘スタイルが独特なせいで俺のパートナーとなる奴にはどうしてもサポート役を押し付けることになってしまうのだ。


 俺は春美をかばうように前に立ちしまっておいた愛剣を抜刀する。銘はないが俺の気とよく馴染む愛用の一品だ。


 早退した男の気が膨れ上がるのを感じ俺もそれを高めてゆく。しばらくの間それが続き頃合いと見たのか男が俺に飛びかかってきた。


 俺の戦闘スタイルは至ってシンプルだ。近寄って切る。ただそれだけ。飛びかかってきた男に合わせてカウンター気味に剣戟を叩き込む。


「GuWaaaaa!!!!」


 そして男はダメージを負いはしたものの俺の一撃に耐えてみせた。春音との関係がきになるところだがもし界魔に連なるものなのだとしたら今まで出現してきたものよりも明らかに上位個体だ。俺の一撃に耐えたことがそれを物語っている。


「bisyuiiii!!!」


 男はそんな叫び声とともに黒い光弾を飛ばしてきた。幸い公園に備え付けられた街灯のおかげで暗闇に紛れて見えないということはない。


 そして俺の戦闘スタイルを支えているのが高い回避能力だ。俺は男に向かって走り寄りながら飛んで来る光弾を紙一重でかわし男の懐へと肉薄する。


「gyuhuuu!!!!」


 そして一撃を叩き込む! だがしかしこれにも男は耐えてみせた。少なくとも今までの界魔の二倍以上の能力は持っているようだ。俺はさらに追撃しようとして剣を振りかぶったが突然目の前から男の姿が消えた。


「hu……hu……ナカナカヤルナ……」


 声のした方を見やるとかなり焦燥した感じの男の姿があった。


「おいお前! 降参しないか?」


 俺は気が付けばそう問いかけていた。春美が兄さんと言っていたこと。それを考慮すれば命を奪うのは忍びない。


「フ、ナニヲバカナコトヲ! ワレワレハコロシアウノガサダメダ!」


 男はそう言って俺に飛びかかろうとして後ろから現れた腕に肩を捕まれその場に押しとどめられた。

 男はその腕の主と何事か会話をたあと俺達の目の前から去っていった。

 さり際に、


「ハク、イツデモカエッテコイ。オマエノイバショハヨウイシテアル」


 そんなことを言い残して。


――――――――


 戦闘が終わり春美を見やると春美は眼から涙を流し俯いていた。


「ニビタロウさん、これでお別れです……。あなたの想像のとおり私は界魔に連なるものです。だからもうあなたの……人間のそばに入られません。だから……さよならっ!」


 そして春美はその場から唐突に消え去った。かろうじてつかみとったものはつけていたネックレス。しかもこれは俺が春美に初めて送った誕生日プレゼントだ。


「春美……くそ、なんで何も言わず行っちまうんだ」


 俺はお前のためなら世界だって敵に回す覚悟はできてるんだぞ……手に残ったネックレスを見ながら俺はそうつぶやくのだった。



戦闘シーンがしょぼい!

とりあえず10話投稿!

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