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BAD END

上上手取は、一人きりの街角 が舞台で『涙』が出てくるバッドエンドな話を1500文字以内で書いてみましょう。持ち時間は一時間。

 おかしい。周囲に誰もいなくなっている。

 ここは普段は人通りの多い街角だ。この時間こんな風に人っ子一人いなくなるなんてことはまずありえない。ありえない、一体何が起こっているんだ?


 そんな俺の目の前に黒い穴が開かれる。その先に広がるのはいい知れようのない不安を抱かせる不愉快な空間。だめだ、見るんじゃない! 俺はとっさにその穴から目をそらした。


 ……それがいけなかった。気がつけば俺は仰向けに倒れ胸は灼熱の如き熱を保っている。なんだ? 俺はどうなった?


「……まだ意識があるのですね……」


 倒れて動けない俺を少女が覗きこむ。何だこの子は? 姉ちゃんの若いころにそっくりだ。


「せめて一思いにと思ったのですが……うまくいきませんね。」


 情が出たのでしょうかとつぶやく彼女に事の次第を問いかけようとして口の中を熱いものが逆流した。赤い、赤いそれを見て俺は一つの結論に達する。……ああ、俺殺されるんだ。と。


「なにも知らず殺されるというのも可哀想ですね……いえ……取り繕うのはやめましょう」


 俺が胸の痛みを感じるたびに少女の体にノイズが走りその存在が薄くなっていく。


「はじめましておじいちゃん。私は今から40年後に生まれるあなたの孫です」


 目の前の儚くなりつつある存在はそんなことを言い放った。


 目の前の少女の話では今から5年後に生まれる俺の息子が開発したとある薬品によってある細菌が変質し世界規模のバイオハザードを起こすのらしい。そのせいで未来の人口は1/100にまで激減し人々はシェルターによる隔離施設による生活を余儀なくされている。

 そうなった原因を解決すべく開発されたタイムマシンを使ってこの子は未来からやってきたのだ。原因となった男の父親である俺を殺していずれ起こるバイオハザードを食い止めるために。


 そうか、俺を殺して息子が生まれなくなるなら当然孫である彼女も存在しなくなる。

 しかしなんだって彼女は自らの手を汚すことを選んだんだ? 他の人がやったっていいことだろう。


「だって、私の初恋の人でしたから。おじいちゃんが初恋だなんておかしいですか?」


 そう行ってクスリと微笑む彼女。その笑顔はああ、確かに俺はこんな女性を妻にしたいなぁと感じさせるもので、俺の惚れた女の血を引いていることを納得させるものだった。


「待つんだ! 彼は関係ない! っ! 遅かったか!」


 黒い穴から新しい男が飛び出してきた。そしてその男のセリフに驚愕を露わにする少女。どういうことかと問い詰める少女に男は説明を始める。


 男の説明によるとバイオハザードの原因となった男は俺と妻との間にできた子供ではなく妻ととある男による托卵の結果なのだそうだ。なので俺を殺してもバイオハザードが起こる未来は覆せない。あれ? じゃぁなんで目の前の少女は消えかけているんだ?


「彼女は原因となった男の妹の娘で正真正銘あなたと血がつながってます」


 そう悔しそうにつぶやく男。


「あは……あはは……じゃぁ私のやったっことって……」


 そう虚ろにつぶやく彼女に俺はなにも言うことができない。

 無論殺されたことに文句はあるが事ここに至って事情を知ってしまえば存在が消えそうになっている彼女に恨み言を言う気持ちはなくなっていた。

 彼女にも葛藤はあったのろう。自分が消えるということと引き換えに行動に出たのだ。そして結果は最悪の形に。追い打ちをかけるほど俺も悪魔じゃない。

 ああ、そういえば死ぬ前に一つ心残りがあったな。


「なぁあんた」

「……ごめんなさいおじいちゃん。私こんなことになるなんて」


 少女はそう言いながら涙を流す。


「いや、もういいよそれは。それより一つお願いがあるんだが」

「ぐすっ……なんで落ち着いてるの? もうすぐ死んじゃうんだよ!」

「ああ、だからだよ」


――最後にもらってくれないか。俺のファーストキス。


 もはや死の淵に立った俺に言葉は出せなかった。肉体が死にどんどんと近づいてゆく。目の前が真っ暗になった後唇にやわらかな感触を感じて俺の意識は途絶えた。



まだ方向性が決まっていなかったためx500文字とか全然考えてなかった

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