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由衣と祐也  作者: 雪月花
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由衣の立ち位置って?

 前回ほどの大躍進とはいかないまでも、なかなかの成績を維持して、私たち6人は中間テストを終えた。私? はい、おかげさまで、学年トップを維持しました~!

 今回すごかったのは、祐也。特に文系科目が上がったおかげで、前回よりも更に順位を上げた。特に古文が7割以上とれてしまったのは、先生でさえもびっくりされたようで、職員室に呼ばれていた。

 帰ってきた祐也に圭くんが聞く。


 「先生、なんだって?」

 「何をしたら、短期間にあんなにできるようになるんだって」

 「そりゃ、みんな思うよな」


という圭くんの言葉に、みんなはうんうんとうなずいている。


 「で、なんて答えたの?」


という佳代ちゃんの問いに、


 「夏休み中、由衣に教わって克服したって……」


 みんな一斉に私の方を見て、ほんと?という顔をするので、


 「え、うん。ほんとだよ。でも、ただ問題集を選んであげて、暗記のところはそれを暗記したかどうかチェックして、あと、わかんないところを解説しただけだよ」


というと、


 「なんて優秀な家庭教師……」


とみどりちゃんがつぶやいた。祐也が続ける。


 「それ、古文の先生にも言われたよ。しかも、その後に、『愛だな』って……」


 え? 何それ、と私が言おうとしたら、その前にみんなが爆笑して「確かに~!」とか盛り上がっていたので、つっこめなくなってしまった。

 で、話題を変えようと、


 「でも、私も数学と物理のわかんないとこをちょこちょこ聞いたりしてたから、この夏で、けっこう苦手部分が減ったよ」


と言うと、


 「え? いつそんな勉強会してたの? 英会話も通ったり、部活もちゃんと出てたよね?」

 「二人の空いてる時にちょちょっと会って疑問点だけ確認したり、夕飯の後にうちのリビングでさっと祐也の古文単語のテストしたり」

 「はぁ~っ、お隣りならではっていうか」

 「地の利ってやつか?」


とそれぞれ勝手なこと口にしていたみんなが、最後に口を揃えて、


 「「「「愛だな」」」」


と言って爆笑したのには、なんと返したものかわからず。たぶん私の眉毛は八の字になっていたと思う。

 祐也の顔を見ると、こちらもなんと言ったものか微妙な顔をしていたけど、でも機嫌は良さそうだった。



 最近、さすがの私でも、みんなが私と祐也の仲をからかっていることがわかってきたけれど、それに私はどう反応していいのかさっぱりわからなかった。

 だって、私と祐也の間柄って、「幼なじみ」以外の何物でもないんだよ。じゃなきゃ、友人。

 ともかく恋人でないことは確かだと思うんだけど……。


 

 実は数日前も、クラスの女子に、


 「津田くんって、あんまり笑ったとこ見たことないけど、由衣の前だと笑うの?」

 「そうだよね、わりといつも仏頂面……あ、ごめん」


と言われたので、


 「あはは。うん、笑うよ。けっこうしゃべるし」


と答えると、うわ~っと何人かが声を上げた。


 「えっ?! しゃべるんだ?!」

 「え、うん」

 「やっぱり、違うね~、由衣の前だと」

 「……」

 「津田くん、優しい?」

 「うん、優しいよ」

 「どんなとこが?」

 「えーっと、ご飯作ってくれる……」

 「「「きゃああああ~!!」」」


 その会話を聞いていた女の子たちは、そこで一気に盛り上がり、らんらんとした迫力の顔で、私にまだ何か聞こうとしたところで、チャイムが鳴った。


 「ああ~ん、惜しい! でも、次、数学だし」

 「あの先生、すぐ来るし」

 「あ、私、今日、当たる!」


とあわてて席に戻っていった。ほっ。数学の先生に感謝。

――という出来事があったのだ。


 いくらニブイ私でも、みんなが祐也と私をどう見ているかわかるよ。

 でも、でも、たぶんそれと本当の私たちの関係にはズレがあると思うんだ。それを一からみんなに説明するのも変だし、第一ちゃんと説明できる気がしない。こういうのって、どうしたらいいんだろう。





 一人でもんもんと考えていても、さっぱりわからないので、みどりちゃんと佳代ちゃんに相談してみた。


 「……ということがあったんだよ。クラスの子にそんな質問されたわけだけど、私の立ち位置をちゃんと説明すべきなんだろうか。恋人じゃないんだよ、って」


 それを聞いた二人は、


 「そんなこったろうと思った」

 「ヘタレというか、まったく」

 「腰抜けめ」


と、ぶつぶつ言っている。


 「えっ?」


と私が言うと、


 「なんでもない。えっと、クラスの子たちには、別に説明しなくていいんじゃない?」

 「そうなのかなぁ。でも、ぜったい誤解してるよ。事実と反している」

 「反してても何でも、そのままにしときなさい」


 みどりちゃんが、あまりにもきっぱり言うので、そんなもんなのかな、と納得しそうになったんだけど、


 「でも、また質問されたらどうするの? 答えに困るようなもの聞かれたら……たとえば、デートはどこに行くの、とか。二人でどこにも行ったことなんてないし……」

 「夏休み中も、どっこにも行かなかったの?!」

 「うん。あ、お互いの家の往復ぐらいはあったし、本屋で問題集見たりとかはあったけど。みんなで出かけた以外は……」

 「……しょうがないわね」

 「なにやってるのかしら」


 なんだか、二人の顔が険しくなってきた。


 「ま、何か聞かれて、うまく答えられない時は、ふふふって笑ってごまかしなさい。いいように解釈してくれるよ」

 「そ、そんなんでいいの?」


という私の言葉に、二人は、


 「「いいの!」」


とハモった。

 

 そして、私に背を向けて、


 「ちょっとしめとく?」

 「ヤキいれちゃう?」

 「まず会議だね」

 「男ふたりに相談だね」


と、ちょっと黒い口調で、物騒な感じの話をしていた。

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