ほうきとちりとりはセットではない!
昔々ある所に、はく のが得意な ほうきと、すくう のが好きな ちりとりがいました。
今日は掃除用具の合コンで、2人のお目当てはキメの細かい化学スポンジ(商品名的な事情により匿名希望)でした。
居酒屋でワイワイと、タワシやブラシ、雑巾が歌ったり踊ったりと。賑やかに騒いでいます。モップはヒップ・ホップを、洗剤はシャボン玉を披露。店の営業妨害もいいとこです。
それから、ひとしきり騒いだ後……。メンバーは各々、店を出て帰りかけて行きました。
読者の約9割の予想通り、ほうきは飲みすぎで道端でゲエゲエと胃物をはいてしまいました。それはもう、すっきりと思いきり、これでもかと、はきました!
一緒にいた化学スポンジは、そのあまりにも情けない姿にあきれ、可哀相な、ほうきのどっかの背中をさすってあげました。なんとそれがきっかけで、ほうきと化学スポンジは、めでたくお付き合いをする事となったのです!
その事態の一部始終を見ていた ちりとりは後日、ひとりでぶらり、と、ある高級中華料理店に入りました。
「ふ……これが自分流の失恋の癒しなのさ……」
と、もしも他人に聞かれたらこっぱずかしい一人言を言いながら、高級料理をじゃんじゃかと注文しました。フカヒレ、北京ダック、スッポン……。調子にのって、じゃんじゃかじゃんと、食べまくりです。
そしてシメに、ツバメの巣のスープを頂きました。ちりとりは、大満足の笑みを周りがひくくらい浮かべて ぺろりと平らげました。
「すくう」のが好きな ちりとり ですから……。
《END》