学校の屋上で~春~
頭上の方向で、錆び付いた扉が開き。
「やっぱりいた。」
足音と共に、聞き慣れた声が降ってくる。
「もう春だねえ。 」
そう言いながら、彼女は俺の横に寝転び。
「こりゃ、サボる訳だ。」
気持ち良さそうに唸る。
「綺麗。だけど、ちょっと眩しいかな。」
俺の顔に乗っている雑誌を奪う。
「うん。良い感じ。」
真似をして日除けに使う、それの表紙は全裸の女。
「明日から、私も持って来ようかな。」
乳首が星マークで隠されているそれを顔に乗せる、セーラー服の女。
「宿題、持ってきた?」
くぐもった声は、聞かなかったことにしよう、と心に決める。
「田中が呼んでた。10分以内に出さないと、1週間トイレ掃除だって。」
少年は飛び起きた。
全速力で走っていく後ろ姿を、持ち上げた雑誌の隙間から見送り、少女は微笑んだ。