アンティーク・アーティファクト
瞬きひとつ分の刹那
世界には、2つのチカラが在る
一つは『荒唐無稽』アンティークと呼ばれる。御伽話の産物はその世界の法則で、この世界を塗りつぶす。
もう一つは『神話兵装』アーティファクトという名のソレは、この世界の法則で、その世界を切り裂く。
二つの世界はお互いを喰らい合う。食い千切り、飲み干す、覆い被さり、咀嚼する。
これは敗北の為に勝利し続ける少年と、守る為に牙を求める少女のお話し。
絶対的な死を前に、
少年は飽いていた。
ファンタジーの世界でなければおよそ呼吸すら出来ない、無力な怪物達。
竜、巨人、蠢く死体、不死鳥、魔王、妖精、小人、妖怪、天使、悪魔。
囲まれていた。常人ならば、視ただけでも発狂するであろう、『常人ならば』
銀の髪を片手ですきながら少年は、さもつまらなげに、言い放った
「下らん、欠伸が出る」
竜と巨人の大隊が前方を塞ぎ上空には空を埋め尽くす悪魔と天使、背後には有象無象の芥共。
「成る程、これは大掛かりだ。確かに私以外ならば殺れるだろうよ。私以外なら。な」
竜達が勝利の勝鬨を上げる。そうだ勝ったのだ。これで世界は救われる。
突撃が開始される、終焉の時だ。静かに目を閉じる。最期の時だ。
腰の剣に手を伸ばす、抜き放ったソレを空高く、高く、放り投げる。
超重量の激突による超圧縮が開始される小さく、小さく、塵にまで、ジュースを絞るのも忘れずに、朱い、朱いトマトジュース。
「この剣は無銘だが、」
目を開く。
刹那の生への別れの言葉か、それとも憎悪の断末魔か、
「この剣に刻まれたルーンには名が在る、ティールという名だ。勝利を意味する」
つまり
空の剣のルーンが輝く。今、鞘たる神剣がその絶対勝利の理を示す。
「何が在ろうと敗北することが出来ない、呪いの剣だよ」
空から落ちてくる、稲妻の様な動きで、光の速さで、勝利の剣が、『爆撃』する、そして地面には落ちない。
奔る、奔り続ける、其れは本質的には斬撃だが、質量を持った光が行う斬撃は破壊を超えて、消滅まで到達する。
勝利の剣が鳴く、疾く、疾く、死ねと、いや、死では済まさぬ。滅しろ、無に還れ。
そうして瞬き一つ分の刹那、パンゲアを飲み込んで余りあるクレーターが誕生していた。
「これでこの幻想譚には幕が落ちたか、厄介な物だな人の創作が世界を喰らうなんてこと昔の私ならば、三流と切り捨てただろう。懐かしいなあの頃が」
こうして世界を潰し回ってどれだけの時間が過ぎただろう
では、暫し感傷にでも浸ろうか。
おほーーーーまずは序章よーーーーーー
おほーーーー書いた途中でぶんなげたわーーーーー
完