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What a way! 〜帰国子女の転生魔法士、びっくり仰天魔法で異世界を優しく変えちゃう件〜  作者: 稲盛 皆藤


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笑え冒険者ギルド

 豪華なベッドで目覚めた朝、 竜人りゅうとは窓の外を見下ろしながら、

深く息を吐き出した。 眼下に広がる街並みは美しい。

 だが、その美しい街のいたる所に 「自己中心」という名の毒が、

黒いおりのように沈殿して いるのを、彼は知っている。


 前の世界でも、そうだった。 差別が平然と行われ、 強い者が弱い者を踏みにじる。

  それが「普通」だと、 誰もが疑わずに生きていた。


「お前の言っていることは。 ただの中二病だ。」

「正義なんて言葉。 現実では何の役にも。 立たないんだよ。」


 前の世界で大人たちに言われた、 冷笑に満ちた言葉が脳裏をよぎる。

握りしめた拳が、 怒りで微かに震えていた。

 だが、今の俺には力がある。


「糞みたいな世界を。 そのままにしておくつもりは毛頭無い。」 と竜人は、独り言を呟いた。


  朝食を済ませて外に出ると、 街の様子が昨日とは少し違った。

 門の方から、 おかしな噂が流れてきている。


「あの頑固な門番が、今は満面の笑顔で貧しい者を普通に通している。」


「まるでお迎えの神様みたいに。 優しくなっちまって。」

人々は口々に囁き合っていた。


 門番は今は、誰に強制されるでも なく、他者を助ける喜びに魂を震わせているはずだ。



 竜人たちは、 冒険者ギルドへと向かった。

 街の中心にあるその建物は、 荒々しい活気に満ちていた。

 だが一歩足を踏み入れると、 そこには竜人の嫌いな光景が、 これでもかと凝縮されていた。


「おい、新入り! 俺の靴を磨けと言ったのが聞こえないのか。」

ギルドの真ん中で、 黄金の装備に身を固めた、 Sランク冒険者の男が若い少年に怒鳴り散らしていた。   

 男たちは、 元の世界のヤンキーをもっと凶悪にしたような、下品な笑いを浮かべている。

周囲の冒険者たちは、 関わり合いを恐れて、 視線を逸らして縮こまっていた。


 さらに受付に目を向ければ、 スタッフの女性が、 魔道具の通信機を片手に、

ダラダラと世間話をしていた。


「えー、マジでー。 昨日の酒場での。 男、超ウケるんだけど。」

目の前に手続きを待つ、 怪我をした冒険者がいるのに、彼女は全く目も向けようとしない。


「シット。 ここも糞だらけだな。」 竜人の声が、 静かなギルド内に響いた。


 絡まれていた少年が、 恐怖で震えながら、 Sランク男の足元に、跪こうとしたその瞬間だった。

 竜人が、 大股で男たちの前に進み出た。


「おい、お前ら。 いい加減にしろよ。」 竜人の低い声に、Sランク冒険者が

眉を吊り上げて振り返った。


「あ? なんだてめえ。 死にたいのか、この軟弱そうなガキが。」 男が腰の剣に手をかけた。

凄まじい威圧感が放たれるが、 竜人は一歩も退かなかった。


「お前らのその。 腐った自己中心のベクトル。 俺がひっくり返してやる。」

「 笑え!」と竜人が叫ぶと同時に、 ギルドの天井を覆いつくすような七色の巨大な魔方陣が展開した。


 その光は、 Sランク冒険者たちと、受付のスタッフ全員を、優しく、かつ強制的に包み込んだ。


「???なんだ。 この光は!」 男たちは一瞬、 激しく痙攣した。

だが、光が収まった瞬間、 彼らの顔から険が消えた。


「あ、ああ? お前誰だ。 新人か?強面の冒険者たちには気をつけろよ。」

Sランクの男は、 少年の肩を優しくポンっと叩いた。


「少年。 でも、きっと良いこともあるぜ。」と男は自分の金貨袋から数枚金貨を取り出して

少年に手渡しした。


「これで美味しい物でも食べてくれ。」 と、満面の笑みで。


「あ、ありがとうございます???」と少年はあっけにとられた様子ではあったが、先輩の好意を

遠慮なく受け取った。


 さっきの受付スタッフも、 通信機を床に叩きつけた。


「???私、何をしてるんだろ! 目の前に苦しんでいる人がいるっていうのに。

 早く仕事しなきゃ。」と 彼女はすぐさま飛び出し、

怪我をした冒険者の元へ駆け寄り懸命に応急処置を始めた。


 ギルド内は、 一瞬にして「善意」の嵐が。 吹き荒れる聖域へと変わった。


「……ふう。 やっぱり、こっちの方が。 気持ちがいいな。」

竜人は、 呆然としている仲間たちを振り返って微笑んだ。


 リーダーのゴリラは、 感銘を受けた様子で、竜人の前に跪いた。


「竜人様、あなたは、この世界の救世主だ。 俺たちもあなたについていく。」

竜人は、 照れ臭そうに鼻を擦った。


「救世主なんて、ガラじゃないけどさ。 とりあえず、 後輩の面倒くらいは見てやるよ。」


「わらえ魔法」によって、 生まれ変わったギルドで、竜人は新しい仲間たちと共に、

次の一歩を踏み出した。

 

 この世界での「普通」を。 「優しさ」に書き換えるために。

もしよろしければブックマークや評価などで応援をお願いします。

更新が滞っておりましたが、

最強の光神マローは、二度と夜を許さない。 〜国民的ゲームの主人公になって、絶望の淵にいた多種族を全員幸せにします。……でも、照れるとすぐ体がピンクに光るのは勘弁してください〜

の執筆に専念していたため申し訳ございません。

そちらは第12話まで書き上げて第1部完結したため、戻って参りました。

どうぞよろしくお願いいたします。

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