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What a way! 〜帰国子女の転生魔法士、びっくり仰天魔法で異世界を優しく変えちゃう件〜  作者: 稲盛 皆藤


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2/5

異世界はじめまして

 竜人は全身の痛みで長い眠りから目が覚めたような感覚だった。

 それは成長痛とも似ていたが実際の所は違っていて、竜人が異世界に転生した際の器の体に

魂が結合するために起こった痛みだった。

 竜人は全身裸だった。

 自分の体をまじまじと見たが、以前の身体とどこか変わったところがあるのかどうかも

分からない位に同じで身長や体重や見覚えのある足の裏のほくろなども同じだった。

「同じじゃん。

 何か女神様がもったい付けて、器を準備しておくからとか言われてたからどんなのかと

 思って期待してたのに。

 まあ違和感も無いしこれで構わないけど。

 ってか俺、裸じゃんかよー」

と竜人は太陽がさんさんと照っている草原に一人で居ることにようやく気が付くことができた。

 幸いにも周囲に人や動物の気配が無かったので身の危険は無いようであった。


「さああて、異世界に一人放り出されたけど、どうするんだ、これ。

 服も装備も食べ物も何も無いじゃんか、どうすんの俺!」

と竜人は話しかける対象が無いので独り言を言った。

「そうだ、異世界と言えば魔法だよな、少し試してみるか。」

と竜人は自分が異世界に居ることを実感したかったので魔法を使うことを考えた。


「ファイヤーボール!」

と竜人は大声で叫んで手を前に突き出してみた、が、何も起こらなかった。

「じゃ、アイスランス!」

しかし何も起こらなかった。

「そいじゃ、ウインドカッター!わ?」

しかし何も起こらず、竜人も自分のやっていることに?が出ているようだった。

 異世界に来て真っ裸で呪文を唱えている姿は滑稽だった。

 幸いにも周囲に人は居なかったので問題なかった。


「あー、そうだ、女神様が確か、「笑え」がどうのこうの言ってたような。まあ、やってみるか。」


「笑え!」

と竜人は呪文を唱えて見た。

しかし何も起こらなかった。


「まあ、そうだよな。

 確か、DNAの配列を変えるって言ってたから、ここでは対象が居ないから無理だよな。」

と竜人はあきらめモードになったようだった。

「次は、食べ物とか衣服をどうするかだよな。」

と竜人は周囲を見渡すと、地平線の向こうに煙がのろしのように上がっているのが見えた。

「あれは人なのかも。ちょっと近づいて様子を見てみるか。」

と竜人は元気よく走ってみると、意外と敏捷に走ることができた。


「えー、俺ってこんなに運動神経良かったっけ?滅茶苦茶走れるじゃん。」

と竜人は忍者のごとく素早く走れたので、走ること自体を楽しめた。

 おそらく地球より重力が軽いのかもしれないと、学校の理科の授業で月の引力と地球の引力が

違うために、月ではポンポン飛んで走ることができると習ったことを思い出したのだった。


 竜人はそろーり、そろーりとのろしの上がっている場所まで匍匐前進で近づいて見ると、

そこには4人の人間に似た生き物が居た。

 全員衣服は纏っていたし武器も携帯しているのが見えたし二足歩行もしていたが、

一人は顔が毛むくじゃらで黒猫のように見えた。

 もう一人は柴犬に見えたし、狸顔が一人、最後に見えたのはゴリラのように見えた。

 そのあたりは草原の中にあるオアシスのような感じで池のような水場があったので開けて

いたので、こちら側からは4人の様子がよく観察できた。


「もう少しレベルを上げないとランクDには上がれないぞ、みんな明日はもっとがんばろう」

「はい、俺ら全員リーダーに付いていくから。よろしくっす。」

と柴犬の顔をした人が、ゴリラの顔をした人に話している様子だった。

 竜人にもその会話の内容が聞き取れたので、現地語はマスターした状態であることを

女神様に感謝したのだった。

 あと、竜人にもゲームなどの知識で異世界冒険の基礎は抑えていたので、彼らが冒険者で

今は駆け出しのEランク冒険者であることが分かった。


 竜人は、何とか今は食べ物や衣服などを手に入れないと異世界に来て早々にGAME OVER

になってしまうことは分かっていたので、あるストーリーを考えていた。

「しかし、この辺りは休憩にはもってこいの場所ですね。

 魔物も動物も何もいませんからね。」

と狸顔の冒険者がリーダーのゴリラ顔の冒険者に媚を売っているようにも聞こえた。

 さしずめリーダーの指示でこの場所を休憩に使うことになったのであろう。

「いや、冒険者に慢心はもっとも危険だぞ、何事も慎重にだ。

 サーベル、もう一度周囲にサーチの魔法をかけてくれないか。」

とリーダーは黒猫顔の冒険者に指示を出した。

おそらく黒猫さんは魔法使いといったところだろうと察しができた。


「まだですか、さっきやってからまだ一時間も経ってないじゃないですか、

 結構魔力消費激しいんですからね」

とぶつぶつ文句を言いながら、黒猫冒険者はサーチ魔法で周囲に人や魔物が居ないかを確認した。


「サーチ!」

「あれ、そこに何か居ますよ、全員戦闘準備!」

とサーベルは全員に急ぎ号令をかけた。


「よーし、隊列くめー、

 ハチは俺と前衛で、

 ポンは後衛で支援魔法を、

 サーベルは魔力回復のために控えへ」

とリーダーはよく訓練されているような印象の指示を全員に出して、竜人に近づいて来た。

 竜人は、自分が見つかったことは気付いていたのだが、匍匐前進の状態のそのままで寝たふりを決め込んでいた。


「リーダー、人が倒れてるっす、運びますか!」

と前衛の柴犬のハチが隊長の指示を待った。

「おう、そうだな、俺らのキャンプまで運ぶぞ。」

とリーダーはハチに手を貸して竜人を彼らの焚火の近くまで運んだ。

竜人はそのまま寝たふりを決め込んでいた。


「あ、目が覚めたみたいっす。」

と竜人を看病していた、狸顔のポンが竜人に気づいた。


 全員が竜人の方を見てやや警戒しながら、竜人の様子を伺っていた。

「あ、俺、どうしたんだろ、ここは。」

と竜人はポンに話しかけた。

「あーやっと目が覚めたみたいだな、お前そこの草原で倒れてたんだよ。

 しかも服も着ないでまっぱでだよ。

 あんなところで何してたんだ。」

とポンは人懐っこく竜人に話かけてきた。


「あー、おれよく覚えてないんだ。」

と竜人は答えた。

「何も覚えて無いのか、名前は言えるのか?」

とポンは聞いて来た。

「あ、おれ竜人って言います。」

とだけ竜人は答えた。

「お前、もしかして龍属なのか?」

とポンは驚いて目を丸くして聞いて来た。

「いえ、たぶん人属で間違いないと思います、名前が竜人なだけで。」

と竜人はあいまいな返事をした。

「そっか、見たところ人属みたいだけど、龍属は人属の格好にもなれるって聞いたこと

 があるし、しかもまっぱだったから。

 まあ覚えていないんじゃしょうがないか」

とポンも深く詮索するのは止めたようだった。


「あ、この服ありがとうございます。」

と竜人は自分がボロボロの服を着せられていることに気が付いたのでとりあえずお礼を

言ってみたのだった。

「なーに、もう捨てようかと思ってた俺のお古だけど、サイズが合って良かったよ。」

とポンは嬉しそうに答えた。

 ボロでも善意で着させてくれたことが分かったので竜人もどこか安心した。

「そっか、竜人は名前以外の事は覚えてないのか、ならしょうがねえな。

 おれらが街まで連れて行ってやるよ。

 冒険者ギルドまで行けば何か分かるかもしれないしな。」

と二人の会話を傍目で聞いていたゴリラ顔のリーダーが初めて竜人に口を開いた。


「お前、腹減ってんだろ。さっき音が聞こえてたぞ。」

とさらにリーダーが突っ込んできた。

「あ、そうかも俺腹ペコみたいっす。」

と竜人も素直に答えた。

 見つかった時の架空のストーリーをいろいろ想定していたのだが、結局考えていた

それらの嘘も使う必要が無く事が上手く運んで、衣服と食料に有りつくことができた。

 唯一の嘘は、竜人が記憶喪失という一点だけだった。


「さあ、食え、さっき仕留めたばかりのウサギ肉だから、臭みはあまり無い筈だからな。」

と意外と繊細なおもてなしをしてくれるゴリラ顔のリーダーに竜人は感謝するのだった。


「皆さん、ありがとうございます。」

と竜人は涙を流しながら、ウサギ肉を頬張った。

 この世界の人たちがみんなこんな人たちなら良いのになと思った。

 

 異世界の初日は女神様の心配するような世界にはとても思えなかった。

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