表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メモリー=レコード  作者: ヒューマ
第1章 獣人黙示録編
2/11

2話 猫と爪

2話です。

よろしくお願いします。

 1月20日


(僕には最近悩みができた。この世に生まれて20年、恋愛をしたことがないわけじゃない。中学校の時はそれなりにはモテていたからクラスの女子から告白されたことだってある。高校生になってからは彼女がいたこともある。それに、僕はゲームが好きだ。ジャンル問わずいろんなゲームに手を出している。もちろん恋愛ものもいくつもプレイした。僕は男である以上、同人誌だって読んだことがあるし時にはそういう動画だって見たことがある。たがら、女の子との接し方はそれなりにはわかっているつもりだ。いや、つもりだった。)


 スマホのアラーム音が部屋に響き渡り朝を知らせる。

 ぬくもりを感じる布団から手を伸ばし手当たり次第にスマホを探す。

 やっとの思いでスマホに触れたのを感じるとアラームを止めた。

 寒いのを我慢して体を起こしスマホを手に取る。


「今日は土曜日か。もうちょっと寝よ。」

 とここで違和感を感じる。

 下半身に感じる妙なぬくもり。

 空は察しがついていた。

 掛け布団をめくると心地よさそうに寝ているイリアがいた。


(まぁた僕のとこで寝てる。まだ約5日だよ!?兄弟だとか同棲しているカップルだとかが一緒に寝てるのはわかる。でも、僕の場合はそうじゃない!

 数日前に倒れていたところを助けただけでなんの接点もないのに堂々と僕の側で寝てるんだよ。

 イリアには空き部屋を貸してあげてそこに布団も用意したよ。でも、朝になったらここにいる。

 わけがわからない。まるで、ハンバーガー屋に言っておにぎりを頼むくらいわけがわからない。

 それに、考えてみればイリアになんの了承も得ずに僕の家で過ごさせている気がする。

 それは後で聞くことにしよう。それにしても、心地よさそうに寝るもんだよ。

 寝顔が可愛いからここ数日の僕は完全にイリアが僕の側で寝ているのを気にしていない。

 ロリコンではない。説得力の欠片もないが、ロリコンではない。

 可愛いものは好きだ。推しだっているしアイドルのライブにも行く。

 それに犯罪を犯そうなんて思わない。未成年に手を出して捕まった奴らを散々と見てきたからな。

 だから、もう一度言おう、説得力の欠片もないがロリコンではない。ロリコンではない。

 大事なことだから何度でも言えるぞ。)


 空はアラームを設定し直すと再び夢の世界へと入っていた。

 ハハッ。(某ネズミ感)


 イリアが目を覚ましたのは空が起きる少し前だった。


「ん、ふぁぁー」


 と大きな欠伸をすると体を起こした。

 そして、自分のいる場所を確認するように周りを見渡す。

 空のスマホからアラームの音が鳴っている。


「ん、んんー」

 と空が目を覚ましスマホをいじりアラームを止める。


「おはよう、イリア。よく眠れた?」

 空は寝ぼけながら言う。


「お、おはよう。空。うん。」

 イリアは顔を赤くしながら言う。


「うん。ならよかったよ。」

 そして、スマホの画面で時間を確認する。


「9時か。朝ご飯作るか〜」

 空はベッドから起き上がり伸びをしながら言う。


「私も手伝う。」

 イリアもベッドから立ち上がり元気よく返事をした。


「ありがとう。」

 と空が言い2人でリビングに向かった。


 2人は朝食を済ませたあと、ソファでくつろぐ。「ねぇイリア。」

 と空が口を開く。


「なに?」

 とイリアが返事をする。


「イリアはここにいたい?記憶が戻るまでか両親が見つかるまでか、いつまでかはわからないけど。そのことを聞かずにいたから本当は嫌なのかもしれないと思って。」

 と空がイリアに聞く。


「嫌じゃない。空、優しい。一緒にいると安心。」

 とイリアは即答する。


「なんか、そう言われると恥ずかしいな。」

 と空は照れる。


(たった5日でここまで慣れるとは思ってもなかったな。思ってみれば助けた日も警戒心しかありません!って感じてはなかった。両親から嫌われてはなかったってことなのかな。)

「わかった。じゃあ、これからもよろしくね。」

 と空はイリアに言う。


「うん!」

 とイリアは元気に返事をした。


(やっぱり可愛いな〜小動物みたいだ。)

「あ、そうだ。」

 と空は立ち上がり棚を漁る。


「イリア、これ。」

 空は棚から取り出してきたスマホをイリアにわたす。


「これ本当は仕事用だけどイリアにあげるよ。」

 と空はイリアに言う。


「いいの?」

 とイリアは不思議そうに聞く。


「うん、いいよ。」

 と空は答える。


「ありがとう。」

 とイリアは嬉しそうにスマホを抱きしめる。

((꒪ཀ꒪*)グフッ)

 空はイリアに使い方を説明する。

 イリアは1度でスマホの使い方を覚えた。


「空、ありがとう!」

「どういたしまして。」

((* ́ω`*))


 最新型にもなると機能が増えたこともあり気づいたらお昼を回っていた。

「あ、もうお昼か。イリア何か食べたいものある?」

 と空は聞く。


「空が作るものならなんでも美味しい!」

 とイリアは元気よく答える。

((* ́ω`*))


 2人は昼食を済ませるとソファに座りテレビを見ていた。

「ねぇ、イリア。」


 と空はイリアに声をかける。

「なに?」

 とイリアは答える。


「一緒に買い物行かない?一応買ったは買ったけどそれだけだと足りないし。服とか他にも必要な物を買いに行こうよ!」

 と空は提案する。


「行く!服欲しい!」

 とイリアは即答する。


「じゃあ明日行こっか。」

 と空は提案する。


「うん!」

 それから1時間ほどが過ぎた頃、空のスマホに電話がかかってくる。

 空はスマホを手に取り電話にでる。


「はい、もしもし。」

『何でも屋さんの電話であっていますでしょうか…』

 と電話の相手は言う。


「はい、そうですよ。依頼でしょうか?」

 と空は聞く。


『はい、そうです。依頼をお願いしたいのですが……お時間の方はよろしいでしょうか?』

「大丈夫ですよ。」

 と空は答える。


『ありがとうございます!では早速なんですが……』

 それから1時間ほど空たちはその依頼主の依頼内容を聞いたりしていた。


「なるほど、わかりました。明日までに準備しておきますので明日の昼頃にまた連絡しますね。」

 と言って電話を切る。


 そして、イリアの方を向き言う。

「ごめん、イリア少し用事が…。」

 と空は言葉が詰まった。


 テレビのニュースの放送に意識が持っていかれてしまった。


 それもそのはず、

『今日未明、東京都の住宅で遺体が発見されました。死亡したのは東京都在住の飯塚沙織さん26歳。…』

 ニュースキャスターの言葉と目に映る警察と鑑識、ブルーシートの光景に

「は、」

 と、こぼしてしまった。


 イリアはテレビに目を向けニュースキャスターの言葉を聞く。


『被害者の飯塚沙織さんの遺体には大きなひっかき跡のような傷がいくつも見られ警察は熊手のようなものによってつけられたのではないかということです。』


「ねぇ、空……これどういうこと?」

 とイリアが聞く。


「ごめん!なんでもないから気にしないで!」

 と言って空は自室に向かう。


(なんで、どうして!?)

 と頭の中で疑問を浮かべる。


 そして、すぐにハッとなり頭を左右に振る。


(今はそんなこと考えている暇はない!早く準備しないと!)


 空は部屋着から外着に着替えてリビングに戻る。


「イリア、僕ちょっと出てくる。」

 と空はイリアに言う。


「うん。わかった……」

 とイリアは答えるが納得いかないような顔をしていた。


「何かあったらすぐに連絡して。」

 と言って空は家を出た。

 空は足早にとある場所へ向かう。

 向かった先は亡くなった飯塚沙織さんの自宅だった。

 沙織さんの家では警察が捜査をまだ続けているようだ。

 空は警察の人に声をかける。


「すみません…」

 と空を訪ねてきた刑事に尋ねる。


「何かご用ですか?一応今は捜査中ですので……。」

 と声をかけられる。


(まぁそうなるよね……)

 と思いながら空は答える。


「何でも屋を営んでいる空・テトラトと言うものなんですけど。」

 と空は警察に向かって言う。


「あ〜君があの何でも屋さんね。話は聞いているよ。ちょうどこのあと君のところに事情聴取しようかと思っていたところでね。捜査協力してくれるかい。」

 と警察は言う。


「ええ。もちろん。」

 2時間ほどが過ぎた頃、空はある情報を聞き出すことができた。


(これで少しは進展したかな。あとはこれをどうするかだけど……今は考えても仕方ないし一旦帰るか……イリアにも心配させちゃったし早く帰ろう)


 警察に提供できそうな手がかりがないか気になり、帰りにもう一度沙織さんの自宅へ戻った。

 不法侵入になるかもしれないと思いつつも敷地へ足を踏み入れようとする。

 すると、屋根の上に何かが立ちすくんでいるのが見える。

 夕日ではっきりとは見えないが人とはどこか違う何かのように見える。

 空は見間違いかと思い目を擦り再び目を開けると既にその何かは消えてしまっていた。


「なんだろう。見間違いかな……」


 と不思議に思いながらその日は沙織さん宅を後にした。

 イリアの待つ空の家に到着した空は鍵を使い扉を開ける。


「ただいま〜。」

 と空は玄関で靴を脱ぎリビングへ向かう。


「空!おかえり!」

 とイリアは嬉しそうに空の帰りを出迎える。

 そんなイリアの腕の中には一匹の猫がいた。


「イリア。その子はどうしたんだ?」

 と空はイリアに尋ねる。


「あそこから入ってきたの。それで一緒に遊んでた。」

 とイリアは窓の方を指差す。


「そっか…」

 と空はリビングに向かった。


(どうしてこんなところに猫が?この家の付近は見ることないのに。)

 と空は思う。


「野良猫はどんな病気を持ってるか分からないから可哀想だけど逃がしてあげて。その後、手を洗うんだよ。」

 と空が言うと「はーい、」と少ししょんぼりとしながら答えた。


「じゃあね猫さん。」

 イリアは窓に猫を置くと猫はそそくさと去っていった。


「ごめんなイリア。今日は美味しいもの作ってあげるから。」

 空はイリアの頭を撫でながら言った。

読んでいただきありがとうございました。

感想等あればよろしくお願いします。

していただければ作者のモチベーションに繋がります。


次回 夕暮れ影を映す

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ