表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メモリー=レコード  作者: ヒューマ
第2章 咲野江家編
11/11

11話 新たな出会い

11話です。

第2章「咲野江家編」スタートです。

よろしくお願いします。

 現世時間:7月12日

 

 獣人異変解決から約半年。

 現世では主に異変治安局第三部隊として活動しながら生活している。

 何でも屋もまだやっているが治安局の仕事の方が多くなり副業になっている。

 そして、時間がある時は裏界に行ってセフィエルからマナ技術を学んでいる。

 

「空様、朝ですわ。起きてくださいませ❣」

 

 耳元で大きな声がする。

 

「う~ん……あと5分だけ……」

 

 空は毛布にくるまって寝返りを打つ。

 

「ダメですわ!早く起きてください❣」

 

 セフィエルは毛布を引き剥がす。

 裏界は季節の概念がなく暖期、雨期、寒期を周期的に繰り返していて今は寒期らしい。

 

「寒いよセフィエル。」

 

 空は毛布を取り返すように丸まる。

 

「そこまでおっしゃるのでしたらわたくしが体を温めて差し上げますわ♡」

 

 セフィエルは布団に潜り込んで空を抱き寄せる。

 

「うぅ……温い……」

「うふふ、もっと温めて差し上げますわ♡」

「起きてください!空様!セフィエルも甘やかさないでください!イリア様はもうお目覚めになられましたよ!」

 

 ピシッと布団を取り上げたのは、桃色の髪と二重の天使の輪を持つ専属メイド、ティファエルだ。

 

「はーい…」

 

 と空が気だるそうに体を起こす。

 

「セフィエル、ティファエルおはよぉ……」

「おはようございます♡空様♡」

「おはようございます。イリア様は自室でお待ちです。」

 

 とティファエルが告げる。

 

「わかった……」

 

 空はベッドから降りて着替えを始める。


「おはようイリア。」

「おはよう空。」

 

「朝食が出来上がっております。」

 

 ティファエルが朝食を持ってくる。

 

「ありがとうティファエル。」

 

 ティファエルは一礼すると食事場を離れる。

 

「空様、今日のご予定はどうなされますの?」

 

 セフィエルが質問する。

 

「今日は任務も特訓もないしイリアとどこか行こうかな。セフィエルも来る?」

「残念ですけれどわたくしはいけませんわ。」

「そっか。じゃあイリア、今日はおでかけしよっか。」

 

 空が提案するとイリアは小さく頷いた。

 

「じゃあ、僕は準備してくるよ。ごちそうさま。」


 ―1―

 

「おまたせ。行こっか。」

 

 空はイリアに呼びかける。

 

「うん。」

 

 とイリアは返事をして屋敷を出て現世に向かった。

 

 日本:広島

 商店街やデパート、映画館など様々な施設があるが2人が選んだのは港だった。

 

「やっぱり海風は気持ちいい!どうイリア初めての海。」

 

 と空は伸びをしながら言う。

 

「うん!空が言ってた通りだね!」

 

 とイリアは海風でなびく髪を両手で押さえながら答える。

 

「気に入ってもらえて良かったよ。」

 

 と空は微笑む。

 2人はそれからしばらく海風に吹かれながら穏やかな時間を過ごす。

 

「ねえ空。」

 

 とイリアは聞く。

 

「どうしたの?」

 

 と空は聞き返す。

 

「もし、記憶が戻って私が私じゃなくなっても隣に居てくれる?」

 

 イリアの声は少し震えていた。

 

「いきなりどうしたの?……もちろんだよ。僕はイリアの隣に居るって決めたから。」

 

 と空は優しく答える。

 

(毎日、同じ夢を見る。草原に生えてる一本の大きな木の下で羽の生えた空みたいな人が笑っている夢。その後、ノイズ?(空がテレビのモヤモヤをノイズって言ってた。)が走って次の瞬間には焼け野原と血だらけの空みたいな人。いつもここで終わって目が覚める。)

 

「そっか。良かった。」

 

 とイリアは微笑む。

 

「イリア、暑いしアイス食べよう。あっちにお店あったからさ!」

 

 と空はイリアを元気づけようと切り出す。

 

「うん。食べたい!」

 

 とイリアは元気に返事する。

 

「じゃあ行こうか。」

 

 2人は立ち上がりアイス屋へ向かう。

 

「バニラアイス2つください。」

 

 と空は注文する。

 

「はーい、カップでいい?」

 

 と女性店員は聞く。

 

「はい。」

 

 空は代金を支払ってカップのアイスを受け取る。

 

「可愛い彼女さんね。」

 

 と店員は笑いながら空の耳元で囁く。

 

「そ、そんなんじゃないです。」

 

 と空は顔を真っ赤にしながら否定する。

 店員はくすっと笑った後

 

「ありがとうございました~」

 

 と言った。

 

「ほら、行くよ。」

 

 と空はアイスを持ってイリアを促す。

 

「うん!」

 

 2人は近くの公園のベンチに座ってアイスを食べる。

 

「おいしいね。」

 

 とイリアは幸せそうにアイスを食べている。

 

「うん、そうだね。」

 

 と空は微笑む。

 アイスを食べ終わり2人は商店街のある街中へ移動する。

 

「どこがいいかな~」

 

 と2人が相談していると突然銃声が鳴り響く。

 

「え?なに?」

 

 悲鳴が聞こえ周囲がパニックに陥る。

 2人は驚いて周囲を見渡す。

 すると、道路を挟んだ向かいの歩道でパニックなる群衆の中を少女を抱えた女性が誰かから逃げるように走っている。

 何から逃げているのかと視線をうつすと銃を持った武装集団が追いかけていた。

 

「空。」

「うん。」

 

 空は頷く。

 

「その女を渡せ!」

 

 武装した男たちは逃げる2人めがけて発砲する。

 少女を抱えた女性は建物の屋上に飛び乗る。

 

「追え!」

 

 男たちも屋上に飛び乗り発砲しながら追いかける。

 しかし、銃弾は全て発砲された直後に垂直に落下している。

 武装集団たちは追跡を続ける。

 一人の男が逃げる2人に追いつく。

 

「しまっ」

 

 捕えようとする男は空とイリアによって蹴り飛ばされた。

 その空の背中には片翼の翼が生えている。

 

「何者だお前。」

 

 武装集団の一人が聞く。

 

「異変治安局だ。」

 

 と空は言った後、イリアと共に瞬く間に武装集団を制圧した。

 武装集団たちを無力化した後2人は追われていた2人に声をかける。

 

「大丈夫ですか?」

 

 と空は聞く。

 

「ありがとう。」

 

 と女性は言う。

 

「紡希おろして。」

 

 と少女は言う。

 

「はっ。すいません普様。」

 

 紡希と呼ばれる女性は普と呼ばれる少女を下ろして空とイリアにお礼を言う。

 

「ありがとうございます。私は五月雨紡希と言います。こちらは咲野江普様でございます。」

 

 と紡希は礼を言う。

 

「いえいえ。僕は異変治安局第三部隊所属の空・テトラト。」

「私はイリア。」

 

 と2人は自己紹介する。

 

「空様とイリア様ですね。助けていただきありがとうございました。」

 

 と紡希は改めて礼を言う。

 

「お怪我が無くてよかった。」

 

 空は微笑んで答える。

 

「それで、追われていたようだけど何があったの?」

 

 と空は質問する。

 すると、さっきまで笑顔だった紡希の顔が曇り始めた。

 そしてゆっくり口を開く

 

「恩人であっても言えません。申し訳ありませんが私と普様はこれで。」


 と紡希は頭を下げる。

 

「ありがとうございます。空様、イリア様。行きましょう普様」

 

 そう言って紡希が普を連れてその場を去ろうとした。

 バタッ。

 紡希がその場で倒れた。

 

「紡希!紡希!」

 

 普が声をかけるが返事がない。

 

「僕の仲間がいる場所があるんだ。そこは安全だから心配しないで。」

 

 と空が言うと普は涙を拭い頷いた。

 空はすぐに蒼さんに連絡した。

読んでいただきありがとうございました。

感想等あればよろしくお願いします。

していただければ作者のモチベーションに繋がります。


次回 12話 咲野江家

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ