第七話〜また会いたいな〜
「こんな僕でいいなら。」
僕は小さな声で言った。
驚いてたのもあるけど、緊張した気持ちもあった。
「やったー!!」
僕がそう言うとブラボーはとても喜んだ。
僕と友だちになれたことがそんなに嬉しいのだろうか。
ブラボーはとても笑顔だ。
ブラボーの笑顔を見てたら、なんだか僕も笑顔になった。
なんでだろう。
わからないけど、笑ったのはすごい久しぶりな気がする。
そもそも笑ったことあったっけ。
いや、あった気がする。
けど、何で笑ったか覚えてないや。
まいっか。
ブラボーと別れて自分の家に入る。
ただいま、と言っても誰も返事はしてくれない。
僕がその返事を聞いたのは数えられるくらいしかない。
お父さんは優しかった。
お母さんと違って僕に優しくしてくれた。
僕のことを受け入れてくれた唯一の存在だった。
お母さんはお父さんの前では僕のことを差別したりはしなかった。
でもお父さんは仕事で家を空けてることが多いから、家には大抵お母さんしかいなかった。
お父さんは仕事で海外に行っていた。
僕が初めてお父さんに会ったのは、僕が五歳のときだった。
一週間だけ、家に帰ってきていたときのことだった。
お父さんがいる時はお母さんは優しかったから、毎日が楽しかった。
こんな毎日が続いて欲しかった。
お父さんが家にいることのできる日が終わりに近づいた。
最終日。
お父さんを空港まで送っていった。
「またね。」
僕が聞いたお父さんの声はこれが最後だった。
『またね』って言ったじゃん。
ねぇ、お父さん。
また会いたいな。