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月に一度の
私は三日月が綺麗な夜に生まれたそうだ。
だからだろうか?
月に見守られている気がして、心の中で話しかけてしまう。
悲しいこと、悩み、嬉しいこと。
家族にも友達にも、そしてあなたにも言えないことを、月は知っている。
あなたの住む街は、ここよりも煌びやかなところだから、星は見えないかもしれない。
だけど、月なら雲に隠れてなければ見えるでしょう。
月は何も言わないけれど、きっとあなたのことも見守ってくれるはず。
月に手を伸ばす。
届かない指先で、あなたへのメッセージを紡ぐ。
日に日に期待に膨らむように、満ちていく。
この月が満ちて丸くなる頃、やっと会える。
────月に願いを
2024.05.26.




