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何年経っても
誰よりも幸せになって欲しかったあの子は、誰よりも早く、神様のもとに帰ってしまった。
将来を想像する余裕もなくて、その日一日を生き抜くにも必死だった私たち。
時代のせいが八割なのに、自己責任と言われることに反論さえ許されなかった、あの頃。
本当の理由は何だったのかと、問い詰めた友人をぼんやりと見ていた。
そんなこと知ってどうする。
誰よりも幸せになって欲しかったあの子が、生まれ変わっていたら、誰よりも幸せになって欲しいだけ。
あの子のことは忘れなさいと説いたお坊さんに逆らって、今日も明日も私は生きていく。
────幸せに
2024.03.31.




