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ついに魔の手に堕ちてしまった



「ついに、買ってしまった……」

「はぁあ〜」

 彼が息を吐く。


 同棲生活も半年を過ぎ、季節はふたつ巡って、冬。

 部屋の真ん中に鎮座しているのは、悪魔の暖房器具だ。


「やばいこれ……」

「人をダメにする暖房器具だこれ」


 一度入ったが最後、出られなくなる。危険極まりない。


「タイマーセットして、時間になったら出るって決める?」

「そんなことで、こいつの魔の手から逃れられるとでも?」

「思わない」

「あー、今、これを買ってしまったことを後悔してる」

「じゃあ転売する?」

「するわけねーだろ」



────あたたかいね


 2025.01.11.

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