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都合の良い夢


 これは夢だとわかってる。

 現実の私は病院のベッドの上。


 どれくらい体が動くのかわからない。

 もしかしたら、指一本も動かせないかも。


 そもそも、どれくらい時間が経っているのか。

 一晩かもしれないし、何日、何週間、何年かも。


 目を覚ますのが、怖い。



 いつ死んでもいい──だなんて言って。

 そのくせ、やり残したことはたくさんあったのだ。

 やらないうちから、諦める理由をつけていただけで。



 声が聞こえる。

 私の名を呼ぶ声が。


 覚悟を決められないまま、私による私のためだけの都合の良い夢は、もうすぐ終わる。


 この夢の世界のことは、きっと忘れてしまうだろう。




────夢と現実


 2024.12.04.


 

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