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会えない間に
ちょっとくらい、いいかなぁ。
みんなやってるし。
ふと頭に浮かぶのは、あの子の声と怒った顔。
思い止まって、振り返る。
そこにいるはずないのに。
もう会えなくなって何年も経つあの子。
もう辞めてしまおうかな。
長く続けている習い事や勉強がうまくいかなくて放り出したくなったとき、あの子の声と笑顔を思い出す。
次に会ったとき、恥ずかしくない自分でいたい。
そう思って、何年も過ごしてきたんだ。
ちょうどそのころ、あの子も同じように頑張っていたことは、知らないまま。
────脳裏
2024.11.09.




