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ドタキャンから紅葉狩り


 仮病なんてしないで、一緒に行けば良かった。

 せっかく誘ってくれたのに。

 ふたりきりではないことが面白くなくてドタキャンするなんて、最低だ。


 幼い頃のように、自分の気持ちを素直に言えたら──



 どうしていつもこうなっちゃうんだろう。


 寝転がったまま出来ることは限られている。

 意を決して起き上がり、カーテンを閉めた。

 ついでに毛布を引き寄せ、ベッドに横になる。


 カーテンの隙間から差し込んでくる光。

じりじりと照りつけていた夏の太陽は嫌だったけど、今はこれくらいがちょうどいい。



 あいつに友達が多いのは昔から変わらない。

 あいつの女友達に『そういう気持ち』が無いであろうことはわかりきっている。

 それなのに、嫉妬心を抱いてしまう。

 素直になれないのも、今日に始まったことではない。

 それでも、あいつは私のことを大切にしようとしてくれている。

 ずっと私の側にいてくれようとしていることも、わかってる。



 起き上がり、カーテンを開ける。


 すっきりと澄んだ青い空に、ぽこぽことした鱗雲が広がっている。

 窓を開けてみると、少しひんやりとした風。

 金木犀の香りと、どこかの家で薪ストーブを焚いている匂い。

 季節は容赦なく冬へと向かっている。



「いつまでも甘えてたらダメだよね……」


 このままでは愛想を尽かされてしまう。

それだけは嫌。


 そうだ、埋め合わせとして紅葉狩りに誘おう。


 子供の頃、一緒に行ったあの場所なら、あの頃のように振る舞えるかもしれない。



────やわらかな光


 2024.10.16.

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