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ズルいひと


 何年も一緒にいるから、お互いのことは全部知っているつもりでいた。

 だけど、好きなものも苦手なものも、知らないうちに変わっていることもある。


 だけど、これだけは子供の頃から変わらないな、と思う。



「ちょっと頼みたいことが……」

「ん?」


 頼みたいなんて、大袈裟な言い方。

 本当にちょっとしたことなのに。


 ジャムの蓋を開けてほしいとか、棚の上にあるものを取ってほしいとか、調理中手が離せない時にインターフォンが鳴ったから来客対応してほしいとか、そんな、ちょっとしたこと。


「ありがとう、助かった」

「うん」


 私がお礼を伝えると、それはそれは嬉しそうな笑顔になる彼。

 まるでお母さんのお手伝いをしたあとの子供のようだ。


 もう子供たちも巣立っていったというのに、いまだにあの頃のように笑うの。ズルくない?


 私はあの頃と結構変わってしまったというのに。


 それを彼に言ったら「君もあの頃と変わってないよ」なんて……


 ああ、もう本当に敵わない。

 たぶん、これから先もずっと。



────子供のように


 2024.10.13.

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