表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
212/350

遠距離片想い


 遠距離恋愛だったら、どんなに良かっただろう。

 私がしているのは、不毛な恋だ。

 遠距離で、絶対に片想いだとわかっている恋。

 なぜなら、彼はあの子のことが好きだから。



「グループ内で恋愛なんて、絶対あとで面倒なことになるから、あたしはしないなー」


 何気なく言ったあの子の言葉に、一瞬彼の顔が引き攣る。


「たしかに。別れたら気まずいことこの上なし!」

「だよねぇ!」


 あの子にはバレないように、こちらにあの子の視線を向けさせる私。

 何を言っているのだろう。

 グループ内で、片想いをしているのに。しかも何年も。



 年に数回しか会えないことを感じさせない会話はつづく。

 帰りの特急電車は予約していない。

 明日も有給取得済み。


 片想いで、他に好きな人がいるってわかっているのに、私は何を期待しているのだろうか。




 話に夢中になっているフリをして、わざと逃した最終電車。

 家路につくあの子と別れて、彼とふたり夜の街を歩く。

 ひとつひとつ消えていく店の灯り。




 遠距離恋愛だったら、どんなに良かっただろう。

 私がしているのは、不毛な恋だ。

 何年も何年も実らない恋を抱えている彼に、私は何年も何年も実らない恋をしている。



 ネットカフェに向かおうとする彼の背中に抱きつくことができたらいいのに。


 そんな勇気があったら、とっくに告げている。



 どうか今、ここで世界が終わってほしい。





────時間よ止まれ


 2024.09.19.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ