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うれしいこと三つ


 寝る前、ベッドに寝転んで手帳を開く。

 毎年買っている手帳は、一日一ページ。

 予定は壁掛けのカレンダーとデジタルカレンダーで管理しているから、この手帳は日記帳として使っている。


 カチカチとボールペンを鳴らす。


 小学生の頃から日記をつけているが、文字の大きさだけでなく、内容もだいぶ変化している。


「今日あった、うれしいことを三つ書いてごらん」

 何を書いたらいいのかわからないと言った私に父はそうアドバイスしてくれた。


 その「うれしいこと三つ」の内容も、年によって変化している。



 いつの頃からか、感情を書き残しておくことが恥ずかしくなった。

 ここ数年は、ただあったことだけ、事実のみを箇条書きしている。


 それでも、書いていいのか迷うことがある。

 誰にも見せることはないのに、日記帳にすら本当のことを知られてしまうのは、やはり恥ずかしいのかもしれない。



「日記とは別のノートに書いた方がいいのかなぁ」

 ぱたん。

 日記帳を閉じ、ベッドサイドテーブルに置いて呟く。



 彼に対するこの感情や、あの子に感じる不快感とか、あの人に対する嫌悪感……


 思ったことを、つらつらと書き綴って、自分の心を整理した方がいいのかもしれない。

 記録として残すための文章ではなくて、言葉を吐き出すためのノート……


「一冊にまとめられれば、それが一番良いんだけど」



 秋の虫の鳴き声を聞きながら、瞼を閉じる。


 考えるのは、また明日。

 おやすみ。明日も良いことを見つけられますように。



────私の日記帳


 2024.08.26.

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