表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
180/350

それは自己暗示であり呪いでもある


「鏡にうつる自分に向かって『お前は誰だ』って言い続けると、発狂するらしいぞ」

「あー、なんか聞いたことある。何回もやってるうちに自分が誰かわからなくなって、鏡の中の自分に恐怖心を抱き始めるとかなんとか」


 教室の隅でこの話を聞いてから暫くは、鏡のなかの自分と目を合わせるのが怖かった。

 小さい頃、鏡が怖かったから尚更。

 鏡にうつる母は、普通に見ているのとどこか違って──左右逆だということが、何故かとても怖かったのだ。


 今、その鏡に真っ直ぐに向き合っている。




 家のためだけに嫁ぐ私が、しなくてはならないことは、いつまでも私のなかに巣食うあの人への想いを断ち切ることなのだろう。



 今からすることは、自己暗示であり、呪いでもある。


 正気でなんていられるはずがない。


 どんな代償でも払う。

 全て忘れても構わない。

 良かったことでさえも。



 自分の想いを捻じ曲げるくらいならば、心ごと全て自分で葬ってしまおう。



 鏡にうつる自分に手を伸ばす。




────鏡


 2024.08.18.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ