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カータリ


 信州の七夕は月遅れで行われる。

 つまり、夏休み真っ只中。

 祖父母の家で過ごす夏は、この月遅れの七夕から始まっていた。



 東京の幼稚園で七月に七夕の飾り付けしたり短冊に願い事を書いて、そうめんを食べる。

 そして、八月になると松本市の祖父母の家で『七夕ほうとう』という、茹でたほうとうに小豆やきなこをまぶしたものを食べていた。


 東京での七夕と、松本での七夕は、同じ七夕だけど、別のもの。ひとつの行事で二度美味しいものだと、私は今も思っている。




「そうそう、七夕人形っていうのも飾るんだよ」

「七夕人形?」

「紙とか木の板でできてるペラい人形で、軒先に吊るすの。あ、大きなやつで子供の着物着せてる家やお店もあるよ」

「人形って、男雛と女雛?」

「いやいや、なんで? 七夕だよ。織姫と彦星だよ。あと、カータリ人形」

「か、かた……なに?」

「川渡りする人なんだけど、天の川の水かさが増えたりしたときに、織姫担いで渡ってくれる足がすごーく長い人形なんだよ」


 説明しながら、スマホで画像検索して見せる。


「マジで足ながっ! ていうかリスクマネージメントすげーな」

「リスマネ……たしかに!」

「ね、生で見たくない?」


 そう言って、私は彼氏を松本への日帰り旅に誘うのだった。



────七夕


 2024.07.07.

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