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神話の空 ~3~

今日、彼が誘ってくれたのはプラネタリウム。

星に興味があるように見えないけど、星好きなのかな、意外。

普通、星空の案内をするのがプラネタリウムだけど

このプラネタリウムは少し変わったプログラムらしい。


なるほど、なるほど。

星座にまつわる物語と、その物語を描いた絵画の紹介か。

深く考えたことなかったけど、星空は神話でいっぱいね。

主にギリシア神話か。目新しいことは無いけど

好きな世界観だから、耳にも目にも心地いいな。

彼は…?あれ?眠っちゃってる?

残念、星にも神話にも本当は興味なしってことよね。

ギリシア神話の神さまたちは、なかなかに奔放な神さまたち。

すぐに恋しちゃう浮気者だし、嫉妬深いし、好き嫌い激しいし

すぐさらっちゃったりするし、割と”とんでも”なエピソード満載。

あー、寝ててくれてかえってよかったかもね。

こんなホイホイ浮気するような話、聞かせたくないもの。

って、付き合ってるわけじゃないから、浮気もへったくれもないんだけど。


明るくなる場内、眠り続ける彼。

寝かせてあげたい気もするんだけど、置いて帰ったらダメよね、やっぱり。

仕方ない、起こすか。

「上映、終わったんだけど…。」

彼の身体を揺すってみる。あれ?起きないな。本格的に寝てる。

耳に口を近づける。

「お・わ・り・ま・し・た・け・ど。」

パチッと目を開ける彼。瞬間、自分がどこにいるのか分からなかったみたい。

くるっとこちらを見て、私の視線としっかり合う。

「え!?おれ、寝ちゃってた!?」

絡んだ視線を外して、私は深く頷く。

「や、え、あ!?ごめん!ごめんね!」

慌てる様子が面白すぎる。けど、ちょっと意地悪して笑ってあげない。

「大分お疲れのようだから、今日は私が送っていきますね。」

深く深く落ち込む彼にそう言ったけど、更にうなだれちゃって

より深く落ち込ませちゃったかな?


そのまま、真っ直ぐ彼の部屋へ。

今日は、買い物もしてないけど、お腹は減ってる。

「冷蔵庫開けるけど、いいですか?」

「どうぞ。え…、作って貰えたり?」

「中身次第ですけどね。」


何とか材料かき集めて、簡単ポトフと豆腐ペペロンチーノとタヌキスパゲティを出す。

しっかり日本酒は冷えていたので、それも。

「意外…。こんなありもので。」

「いつも、外食出来るわけじゃありませんから。」

「だよね。」

うんうんと頷きながらなんちゃって料理を頬張ってる。

子どもみたい。


冷酒用のとっくりに手を伸ばす、同時に伸ばした彼の手と触れる。

視線が絡み合って、彼が何か言いかける。

とっくりの中の氷がカラリと音を立てて崩れて、静寂が際立つ。

小首をかしげて、彼の言葉を促すけど、言葉は出てこない。

ふいっ… 私は目をそらす。引きかけた手を追いかけられてぎゅっと握られた。

「僕の…」

彼の声に顔を上げると、今度は彼が目をそらした。

「僕のせいで遅くなっちゃったから、送って行く…ね?」



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