958話 ララとロバート
958話 ララとロバート
執事長の部屋の前に飛び、ノックをして声を掛けます。
「ロバート居るぅ?」
『はい、こちらに。』
後ろから声がしたのでびっくりして飛び上がります。
「のわー!!。何でそこに居るのさ!」
『いえ、ララ様の後ろに居ただけですが。』
「だぁかぁらぁ!・・・。もういいわ。」
『ララ様、本日のご訪問は先ほどご連絡頂いた件で宜しいでしょうか?』
「そ、そうね。」
ララさん、急に話を変えられたので少し戸惑っています。
「で、如何なの?問題なさそう?」
『はい、調整に少し時間が掛かるかもしれませんが、問題無いでしょう。』
「それはボテの街のシスター引継の事?」
『それも有りますが、すでに決まった人事を動かすとなると、
多少の面倒ごとは起きるかと思います。』
「そうだね、でもその為に鼻薬を嗅がせたんでしょ。」
『人聞きの悪い事を大きな声で言いなさんな。
それは御布施を弾んだと言うのです。』
「同じ事やん。」
「じゃぁ、シスター、孤児院の件はこれで問題無いね、」
ララがそう言って、移動しようとしたので、
『ララ様、最近、ヴラド子爵様の領地でスタンビートが起きたとか?』
「お、おぅ、ずいぶん耳が早いね、
ロバートの耳は兎の耳ぃ。」
『ララ様、茶化してしてごまかさないでください。』
「あはははは、問題無いよ、みんな捕まえて
アマンの迷宮の肥やしに成ったよ。」
ロバートが微妙な顔をしています。
「王都への報告はご主人様が行っていると思うけど、心配ないよ、
眷属一人がけがをしたけど、しばらく入院すれば復帰できるしね。」
『ララ様、今回のスタンビートは魔族が関係していると聞いております、
ララ様のお話では、スタンビートの現象のみの対処で、原因となる魔族への
対応はなされていない様に感じますが?』
「中々の突っ込みですね。確かに、放置すれば同じ事が起きる可能性は
高いでしょうね。でも、現状は、魔族が関与したという証拠は無いに等しい、
予想の範囲内を出ないんだよね。今は静観、証拠、情報集めだね。」
『では、今回と同じ様な事が起きても対処可能と言う事でしょうか?』
「そう思ってもらってかまわないよ、今回の数倍の規模でも問題無いね。
但し、魔族が関与している云々の話を何処で聞いたか知らないけど、
絶対オフリミットね、情報源にも言って置いて、私達は、知らない振りが
最大のメリットだからね。相手が油断している間に準備を整える、いいね。」
ロバートが少し驚いた様に
『承知致しました。』
「でも、眷属の間で情報を共有する事は大切だから、それはかまわない。
眷属以外には絶対漏れないようにね。もし、外部に話したなら、教えて。
私が忘れてもらうようにするから。」
ロバートが引き気味に、
『し、承知致しました。』
ララに対して否とは言えません。それを感じ取ったララが手を腰に当てて、
「あのね、失礼な事考えたでしょ。忘れてもらうって、死んでもらうじゃないよ。
忘れる様に、思い出さない様に暗示を掛けるんだよ、分かる?」
ロバートが慌てて、
『分かって居ます、分かって居ますとも。』
慌てて言いつくろいます。
「まったく、あとね、孤児院人材発掘計画を立ち上げて、
里の屋敷に本部を置くけどロバートにも色々便宜を図ってもらうから
よろしくね。」
ロバートが、あわてて、
『ララ様具体的にはどの様な援助を・・・。』
すでにララは居ません。どこかにテレポートしてしまいました。
次話:サンチェスと孤児院




