933話 ペンタの街の孤児院
933話 ペンタの街の孤児院
「後から、教会と、孤児院を修理・・・。
いや、もうこれは建て直した方がいいね。
職人を寄こすからね。それまで、こっちに住んでいて。」
ララが外に出て、以前、AIマスターに頼んであった、
三階建てのプレハブ住宅を敷地内の端に出しました。
シスターがびっくりして、しばらくプレハブ住宅を見て居ましたが、
はっと気が付き、ララを見ると、
<ラ、ララ様、こ、こちらに住んでも宜しいのですか?>
「うん、部屋数は少ないけど、男女別には寝れると思うし、
お風呂も付いているから、大丈夫だと思う。」
サッと見回して、10歳以下の子ばかりなのが気に成り、
「所でここにシスター以外の大人は居ないの?」
<大きいい子は働きに出ていて夜に成ると帰ってきます。>
シスターが下を向いてしまったので、
ララがあまり良い仕事はさせてもらっていないと感付きました。
「解ったわ、今夜にでももう一度来て、少しその子達ともお話しましょう。」
思った以上に厳しい環境にララの顔が曇ります。パットが心配そうに
『あの、ララ様・・・。』
「ああ、大丈夫だよ、孤児院と言うのは、他の街もこんな感じなのかな?」
『はい、うちはまだ死人が出ないだけまし、
シスターが頑張って、托鉢もしていますから。』
「そうか、パット覚えておいて、孤児院と言うのは、人材の宝庫何だよ。
兄弟の中で、子供好きな者に仕事を頼みたいんだけど、
サンサの所も含めて、何人かピックアップして置いて。」
パットが孤児院のお世話係でもやらせるのかと思いましたが、
スケールの違う事に驚いたのは後の話。
ララが、スッと物陰に隠れます。AIマスターに頼んで、
保母さんスタイルのアンドロイド2体を送ってもらい。
戻ってシスターに紹介します。
パットが何処から来たかと驚いて二人を見ますが、
ララは平気な顔で、シスターに紹介します。
「シスター、こちらはオーフィとチル、私の仲間です。
ここの運営のお手伝いをさせて下さい。
私への連絡係も兼任しますので、宜しくお願い致します。」
シスターも何処から来たのかと驚いた様ですが、
ララが何事もなく紹介したので、そのまま受け入れる事にします。
「大柄なほうがオーフィ、生活魔法と、その辺の男より力持ちです。
小さいのがチル、生活魔法は勿論、細かい仕事、裁縫、料理も得意です。
給料は要りませんので、ご安心を。」
シスターが「はぁ」と言ったっきり、声が出ません。
「オーフィ、チル。子供達にスープ飲ませて。」
『はい、ララ様。』
チルがマジックポシェットから大きな寸胴に入った、スープ。
サンダースが作った特製スープを出します。
シスターが驚いて、
<こ、これは、>
「うちの料理長が作った特製スープだよ、子供たちに食べさせて。」
『スープ上げるよぉ、みんなおいでぇ!』
最初は遠巻きにしていた子供達ですが、スープの匂いに誘われて、出てきた所で、
オーフィの声、戸惑いながらも年上の子が並ぶと、皆後ろに皆続きます。
チルもマジックポシェットから、お皿やスプーンを出して、配膳します。
スープの入ったお皿を受け取った子が恐る恐る一口飲むと、目を見張り、
後は怒涛のごとくかきこみます。
それはそうです、ドラゴンの骨で出汁を取ったスープなんて宮廷でも
そうそう出る事成ってない品物です。
あっという間に大きな寸胴が空っぽ。シスターが慌てて居ます。
「お兄さんやお姉さんの分が・・・。」
『大丈夫、まだあります。』
チルの言葉にシスターが胸を撫でおろします。
「それでは、私は失礼いたします、夜にはもう一度来ますので、
よろしくお願い致します。」
「オーフィ、チル、頼んだよ。」
『はい、おまかせください』
孤児院の皆に見送られながら、店に、式場に戻ります。
次話:合同結婚式当日・ハミル不動産への道すがら。
☆¨*:♦.,☆¨*:♦., 登場者の紹介 ☆¨*:♦.,☆¨*:♦.,
孤児院の職員:アンドロイド
オーフィ:♀大柄、男に負けない力持ち。経理計算が得意、教師向き
チル:♀小柄、編み物、料理、家庭的。




