923話 レミ、アマンに師事する
923話 レミ、アマンに師事する
アマンの里に入ると、
「おお、結構いい感じに出来ていますね。」
薄暗く深い谷岩を削って先を尖らせたような山々に囲まれた、
中に浮かぶような城、そこに続く九十九折りの断崖絶壁の道。
絵に描いた様な魔王城です。
テレレポートでは無く空中を浮遊して、雰囲気を確かめながら、
城門に向います。
城門に着くと。
「アマン、居るうーー!」
ララさん、まるで隣の家の玄関で友達を呼んでいる様な雰囲気です。
城からドタバタ音がします。事前連絡もしないで突然来たので慌てて居ますね。
最初にラグジュがパタパタ飛んで来ます、後ろからムウとマウが団子に成って
転げて来ました。
目を回しながらも。
『ラ、ララ様、い、いらっしゃいませ!!』
うん、根性は有る様です。
ラグジュが呆れたように、
『ララ様、申し訳ありません、私の部下は粗忽者ばかりで・・・。』
主人も粗忽者だからと言われるかと思い、無い首をひっこめた様です。
「悪いね、連絡なしに来たからね。」
ラグジュがララがぶら下げているレミを見て、察したようです。
『はい、只今、アマンの所にご案内致します。』
ラグジュ自ら先導します。
ララさん、ふっと、そう言えばラグジュにもアマンにも、執事の様な側近は
付けて居無かったね。本院の意向も有るから、聞いてみますか。
ラグジュに案内され、謁見の間に通されます。
高い所に魔王に椅子が有りますが、そこにアマンが居ません。
ふと下を見ると、アマンが床に頭を擦り付けています。
「あんた、何やってんの、あんたはあそこに座って居なきゃダメでしょ。」
ララがそう言って高い所に有る椅子を指さしますが、
【私がララ様より高い所に座るなど、ララ様を見下ろすなど、
口にするのもおこがましい事で御座います。
何卒、ララ様が、そちらにお座り下さいます様お願い致します。】
ララがめんどくさいなぁと言う顔をすると、アマンが、察して話を変えます。
『ララ様、お手のスライム?いやぼろ雑巾でしょうか?・・・』
それを聞いたレミ、ボンと空気を入れた様に膨らんで復活です。
『おや。噂のレミさんですか。』
何ってんだこの野郎とでも言いたげに胸を反らします。
ララに頭をたたかれて、涙目でララを睨みます。
『フム、ララ様にその様な態度を取れるとは、反抗心は旺盛の様ですな。
察しますに、そのレミさんを私に預ける、と言う事でしょうか?』
「うん、察しが良くて助かるよ。こいつ、影魔法の落とし穴作れるから、
鍛えて欲しいんだ。」
『タマたちの様に戦力になるようにと言う事で宜しいでしょうか?』
「そうだけど、以前、ラグジュの下でメイド修行させていたから、
分かると思うけど結構扱いづらいよ。」
『フム、それはラグジュ殿では無く、
私に弟子入りをすると言う事で宜しいですか?』
「それで、良いけど、こいつ、妖精が縫い包みに入って動いて居るから、
扱いは妖精と考えて方が良いと思う、
そうしないとこっちが切れそうに成るからね。」
『それでは、本人にやる気があるかどうかの話になります。
本人にやる気が無ければ、修行期間は永遠に近く成ります。如何ですか?
主従関係も、本人の認識が甘いと、何時までも下積みですよ。』
アマンが、レミの方を見ると、恐いのか、レミが固まりました。
「そうだね、どんなことが出来る様に成るか、イメージを見せて、
やる気を引き出した方が良さそうですね。」
「期間は特に設けないから、仕込んでみて。」
『承知致しました。』
次話:アマンの眷属。




