906話 チュー子DAの願い
チュー子DAの願い
皆が騒いで居る屋台の中央に向って歩いていると、
何やら剣呑な雰囲気が何処からか漂ってきます。
『ん?。この場にそぐわない雰囲気は・・・?』
漂ってくる方に目をやると、宴会集団の端の方、
ネズミ達が居る方から漂ってきます。
チュー子Cが横を向いて、チュー太Dと義姉のチュー子DAが頭を
テーブルに擦り付けんばかりに平伏(鼠の土下座)しています。
『あなたが種馬に成りなさいよ、家の人で有る必要は無いわ。』
チュー子Cがかなりのお冠の様です。
ララさん、がその場に近付こうとしましたが、何やら微妙な雰囲気。
自分は知らない事にした方が良さそうと判断、気配を消して移動します。
『いや、姉さん、失礼な御願いと分かって居る俺も悩んだんだ。
ただ、これは絶対ララ様の為に成る、お役に立てると思ったんで、
こうして、御願いに上がったんだ。
確かに、俺でも良いと言う考えはある。だけど、より優秀な子種、
しかも、その子が成長すれば、俺の子供達との番いも望める。
俺では血が濃すぎて駄目だ、せめて従兄妹同士ならと思って居る。
更に、その次の世代では大きな戦力拡充が望める。
そうすれば、魔国でのララ様への貢献度が格段に上がる。
これからは魔国での情報戦が絶対に必要に成る。
頼む、今回だけ目をつむってくれ。』
チュー太Dが必死のお願いです。チュー子Cもちゅー子Cパパから
魔国での戦力増加が、眷属の増強が急務で有る事は聞いている。
だからと言って、これは女として、妻としての矜持が許さない。
ちゅー子Cがじっと目をつむり、思考の海の中に沈んでいます。
決心が付いたのか、目を半眼に開けると、ゆっくりと二人の方を見ます。
『良いわ、でも条件が有ります。
生まれた子供たちに父親が私の夫である事は教えないで下さい、
勿論、他の誰にも言わない事、そうすれば、
私は今ここで話し合った事は忘れます。
夫がそれを受け入れるか否かは別問題です。
私には全て与り知らぬ事と致します。』
そう言い残し、ちゅー子Cはどこかに行ってしまいました。
きっと子供の所に行ったのかもしれません。
次話:チュー子Cの憂鬱




