839話 アセナの分割-------修練場
アセナの分割--------修練場
「三分割の件だね、出来ると思うよ、現状三分割は有効だと思う。
それ以上の分割は今は必要ないからね。」
『何故ですか?』
「理由は二つ、一つ目はトレーナーが三人と言う事」
「二つ目は、分身を繰り返して、自分が増えれば、君のレベルだと、
おそらくオリジナルはその中で一番経験を積んだものが
他の分身を制御して、オリジナルに成ると思う。」
「つまり、今話している君がオリジナルには
成れないかもしれないけどいい?」
アセナがびっくりして、分身を見ますが、
分身は”分んない”とでも言う様に、腕を下げた状態で、
両手のひらを見せ、肩をすぼめます。
『ララ様、それは私が私では無く成ると言う事でしょうか?』
「君には少し難しいかな?う~ん、それは分身となった各自が、
全体、全員が自分であると言う認識が持てるかどうかに成るかな。」
「似た様な事で”マモーの命題”が有るかな。つまり、命の誕生には
お父さんとお母さんが居なくてはならないけど、自分の細胞から
自分の複製を作ると言う技術が有る。それを繰り返す事で、
その者が永遠に存在する事に成れば、その者にとって、永遠の命を
与えられたと考えられるかどうかと言う事だね。」
『それは違うと思います。僕と言う存在、肉体が無くなれば。
たとえ内容が同じ存在が有ってもそれは私にとっての死です。
だって、兄妹と私は違う物です。』
ララさん、ちょっと嬉しそうにアセナとお話を続けます。
「それは、自我が関わって来るね。さて、その自我さえも共通で有れば、
全体を自分と認識していれば、たとえ肉体が滅びても精神が、自我が
存在し続ければどうだろ?」
『それは絶対有りえません。同じ自我なんて、だって、昨日の僕と
今日の僕は違います。経験、記憶によって、自分は変わる物ですから。』
「そう、その記憶さえも共有すると成るとどうだろう。」
アセナがはっと気が付いた様です。
『そうか、同じ肉体が有り、記憶を継ぐ者が居れば、自分にとっての死でも、
対外的には不死と成るんだ。』
『判りました、ララ様、
これから、私が死んでも私の意思を継ぎ
家族を守る者を決めておきます。』
ララが困った顔をしています。
「ちょっと、違うんだけど・・・。難しすぎたかなぁ。」
サンサの方をちらっと見ると、サンサが困った顔をしています。
「アセナ、この命題、君の答えに家族の思いは入って居ないね。」
アセナがぐっと詰まります。
「たとえアセナの完璧な変わりが居たとしても、
アセナの死は家族にとってとんでも無く悲しい事、辛い事だよ。
絶対粗末にしてはイケない事だからね。」
アセナが考え込んでいます。
(『今は駄目でも、将来、危険が迫った時の為に、分身体を隠して置く
事も考えた方がですね。』)
『分かりました。ララ様、今は三分身で頑張ります。』
ララさん、アセナの表情を見て、何を考えたか分かった様ですね。
でも、今はそれでいいと判断して、
「はいそれじゃあ、三分身、やって見ようか。」
「ティア、お願い。」
(『は~い。』)
サンサの手から下りて、アセナの所にトコトコ歩いて行って
(『お兄ちゃん、抱っこ!』)
アセナがティアを抱くと、二人が念話のやり取りをした様です。
ポウと光ると、三人ずつ、三分身に成ります。
次話:ダリンの三分割
☆¨*:♦.,☆¨*:♦., 魔法、魔道具、魔物、登場者の紹介 ☆¨*:♦.,☆¨*:♦.,
マモー:
ルパン三世、劇場版「ルパンVS複製人間」に登場するクローン。




