829話 ケンとリキの同族合体--------修練場
ケンとリキの同族合体--------修練場
「大丈夫、その様な不測の事態は起きないと思うし、
仮に起きても私が何とかするよ」
『ララ様がそう仰るなら』
リキが不承不承頷きます。
ケンとリキがシ人化を解き、狼の姿で並んで体を寄せ合い、声を合わせて。
『合体!』
二人の体がふわりとぼやけると、一つに成り、
1.5倍位の大きさに成り実体化します。
「どんな感じ?主導権はケン?リキ?」
伸びをしたり、軽く飛び上がってみて、
体の調子を確認して居ます。一通り、確認が終ると、
『私は、ケンリキ。ケンでも無くリキでも無く、
また、ケンとリキ以外の者では有りません。』
「ふ~ん、ケンはそこに居るの?」
『はい』
「リキはそこに居るの?」
『はい』
「なる程、ケンとリキの自我を共有する第三の自我が生まれたと言う事ね。」
『私はケンリキ、ケンとリキの知恵を持つ者』
「解ったわ。それじゃあ、一旦合体を解いて。」
ちょっと戸惑った表情をしますが、
ふわりと全体がぼやけると、二つに分離して、実体化します。
狼の姿から、人化して
『『ララ様、これ凄いです』』
二人で声が揃います。ユニゾンですかね。
「何がすごいの?」
『力もパワーも』
『反応速度や魔力も』
二人がまるで息がぴったり合うように、話出します。
合体したせいで、その辺の波長が合って来たみたいですね。
『もしかしたら、ボスより強く成ったかも。』
『ばか、あの人の事だ、何処で聞いているか分からんぞ。』
何か息の合った漫才を聞いている様です。
「もしかして、あんたたち、お互い話す前に何を言うかわかるの?」
『『はい、そんな感じです。』』
どうやら、個人の秘密は守られている様です。
「此れからの訓練は、合体しての能力検証ね。何がどれ位出来るのか、
人化した時もどれ位上がったか等を検証してみて頂戴」
「検証には眷属の能力、つまり、
ムービングハンドは何本出せるとか、テレポートの飛距離、
とかを比べる様にね。」
『『はい、分かりました』』
先ほどの萎れた姿は有りませんね。
ララさん、悪い顔をしています。
「ねぇ、二人とも、しっぽの毛、半分とは言わないわ、ひと房づつ頂戴。」
『そうでした』
そう言うと二人とも手を後ろに回し、
『ふん!』
と言う気合と共に、抜いた毛を、ララに差し出します。
ララがびっくりして、
「あんた達、痛くないのそんなことして。大丈夫なの」
予想外にワイルドな事をされて、ララが狼狽えています。
ケンが
『これ位なら大丈夫です。一週間もすれば元に戻ります。』
リキが、
『以前、半分以上焼かれたことが有ったけど、その時でも、
魔力を込めて遣れば10日位で治ったな。』
ララが渋い顔をしています。自分が仕返しに行きそうな雰囲気です。
『半分以上焼かれたって、何処で、』
「あ、ララ様、昔の事で、訓練中の事故ですので、問題ありません。」
リキも仇を取ってやると言う雰囲気丸出しなので、慌てて、言いつくろいました。
「お互い納得ずくなのね。まぁ、良いわ。」
怒りが収まった所で、同じ様にオーガ達にも合体させ、
ケンリキの様に能力検証を行う様に指導して、
ケンとリキの修練場を後にしました。
ケンとリキが何やら話しています。
『なぁ。あの尻尾の毛、何にすんだ?』
『考えるだけ無駄だ。あの人のやる事は分らん、
まぁ悪い事じゃぁ無いだろう。』
『そうだな』
次話:レミと狼の尻尾
☆¨*:♦.,☆¨*:♦., 登場者の紹介 ☆¨*:♦.,☆¨*:♦.,
ケンリキ:ケンとリキが合体した時の名前(自我)




