811話 ダリン-------修練場
ダリン-------修練場
ダリンが顔を見るや否や、
『ララ様、模擬戦やりません?』
「何だそりゃ、お前の頭の中戦う事ばっかりかね?」
『この前、骸骨にやられたのが悔しくてね。
あの物量に勝てる体力を付けたいんでさぁ。』
ララさん心の中でにたりと笑います。
「う~ん、そうねぇ。もしかしたら出来るかも。
ちょっと、クロウ丸の所で可能性を探ってみましょうか?」
『ララ様、クロウ丸って、あのでかい鴉のとこですよね。
あいつと戦うんですか?』
「単細胞、話を全部聞きな。全く、戦う事しか頭に無いのかね。
クロウ丸に面白い権能が有ってね、自分の能力を転写、目覚めさせる事が
出来るみたいなんだよ。但し、今解っているのは鴉限定らしいんだけどね。」
『え?ララ様、俺、カラス並って事ですか?』
「最期まで、話を聞けって!」
「もしかしたら、クロウ丸の権能、
分身が出来る様に成るかも知れないんだよ。」
”ポン”と音がするかの様にダリンの人化が解け、狼の頭に成ります。
『うおー、びっくりした。ララ様、自分を増やす事が出来れば、
無敵じゃないですか。』
「おまえ、もしかして、自分が沢山いれば私に勝てると思ってる?」
ダリンが心を読まれたようにびっくりして、汗かいています。
ララさん、首を傾げて、犬って汗かいたっけ。
『そんな事無いですよぉ~』
ごまかすのも下手ですね。サンサが苦笑いしています。
「まぁ、良いわ。一週間、時間を頂戴。クロウ丸たちが訓練している横に
居るだけ、そこで自分たちの訓練していても良いからね。
みんなで行くよ。」
サンサがびっくりして、ティアを見ます。
「大丈夫、ティアが居るスペースも作って有るから、
取りあえず行って見ようよ。」
サンサが安心した様に
『はい、分かりました。』
アテナが何の事か分からない様ですが、
どこかに遊びに行けると思った様です。にこにこ喜んでいます。
ゼーロがララのスカートをツンツン引っ張り、
自分を指さしています。(指ないんですけど)
「あんたも一緒に行って、アセナと遊んでなさい。」
ゼーロが首を傾げています。遊ぶと言う所に引っ掛かったみたいですね。
本人は遊びでは無く訓練であると、自負している様です。
『ララ様、何時からですか?』
「明日の朝、クロウ丸が居るドレクの訓練場に行って頂戴。」
『はい、分かりました。』
「じゃあ、よろしくね。」
ララがダリンの訓練場を出ようと、入り口まで歩きましたが、そこで振向き、
「ダリン、今のあんたが何人居ようと、私には勝てないよ。まぁ頑張んなさい」
ダリンがびっくりした様にララを見ていましたが、
何を言われたか理解したようです。すごく悔しそうな顔をしました。
次話:食堂の鴉と狼




