809話 分身-----修練場
分身--------修練場
ララさん、ドレクの訓練場にテコテコ歩いて行きます。
「ここはテレポートよりみんなの訓練を見ながら歩くのが楽しいね。」
草たちの所を通りすぎて、「ん?」
バックで2~3歩戻ります。ちらりと見ると、象さんが・・・。
「講師はガネーシャさんですか。」
「象の頭は、献身、忍耐、真理の象徴とか言いましたね、確か。」
ララに気が付いたガネーシャがララにウインク。ララも手を上げて、
答えてその場を離れます。
ドレクの所に行くと、人化したクロウ丸とドレクが向い合って胡坐を組み、
その周りで、5組、いや6組の二人の分身が剣で打合いをしています。
おや、一組は拳で打ち合って居ます。
「これはすごいね。それぞれ6組が違う動きをしていますよ。」
アンナを探すと、人化したアンナが二人、向い合って胡坐を組んでいます。
「アンナは分身の訓練ですかね。でも出来るんですね。すごいです。」
ドレクがララに気が付き、彼の分身がパッと消えます。
クロウ丸の分身が、勢い余って、たたらを踏む者、転がる者が出ましたが、
これもすぐに消えます。
アンナは気が付いて居ません。
よく見ていると、左右の手を上げたり、首を傾げたり、どうやら、
同じ動き、同調の訓練をしている様です。
此方を見ているドレクに近寄り、
「アンナも分身が出来るんだね、
でも、そんなスキルは持って居なかったと思うけど。?」
〚俺も持ってねぇよ。〛
ララが驚いた様に。
「じゃあ、何で出来るの?」
〚こいつのせいだな。〛
ドレクがクロウ丸の方を向いて、顎でしゃくります。
「???」
〚こいつの面白い能力が有るみたいなんだ、こいつが能力を使うと、
周りの者が同じ能力を使えるようになるらしい。全く同じとはいかないが、
その個人の能力によって、劣化版、位には成るみたいだ。〛
〚但し、こいつの身内、鴉鬼限定らしいがな。〛
「ドレク、あんた鴉鬼じゃないよね。私は眷属にした覚えはないけど。」
〚それは、俺が分身を使えるから、と言う事か?〛
ララさん首を縦に振ります。
〚おめぇよぉ。俺は仮にも神界に住む者だぞ、
こいつに出来て、俺に出来ないわけが無いだろうが。〛
「あははは、そりゃそうか、あんたを見てるとつい忘れるんだよね、その事。」
〚相変わらず、ひどい奴だな。〛
「所でアンナはどれくらい使えるの?
いや、3分身出来るまでどれ位かかる?
同時に何人位訓練出来る?」
ララさん兵力倍増計画の思惑見え見えです。
〚此処は狭いから、まぁ入るだけだな。〛
「大きい所なら沢山いいの?」
〚そうだな、こいつの魔力が拡散しない様にドーム状の建物がいいな。
あいつ、アンナの魔力がかなりでかいから、あいつを傍に置いて
魔力の補助させれば、1000や2000は問題無いだろ。〛
「わかった、次回の参加者には鴉鬼を沢山入れるからお願いね。
建物は中で飛べるくらいのを何とかするよ。」
〚すげえな。まぁ、良いけどな。〛
「もう一点、ダリンの一家知っているよね。」
〚ああ、あいつら目立つからな。〛
「あの子達を一週間、此処で見学させて。」
〚もしかして、あいつらに分身覚えさせるとか?〛
「いや、可能性を探りたいんだよ。ダメ元だよ、ダメ元。」
〚良いけどよ、じっとして居れんのか、あいつら、餓鬼も居るんだろ。〛
「横で訓練させればいいよ。」
〚狭いぞ此処。〛
「ちょっと待って。」
ララさん、そう言うと手を広げ、魔力を此処、ドレクの訓練場に放出、行渡らせ、
力を込めると建物がむくむくと広がります。直径が1.5倍くらいに成った所で止めます。
壁に手を荒れると、
「むん!」
ポコンと小さめの半円の部屋が出来ます。
「こんなもんで大丈夫でしょ。子供がうるさく成ったら、
此処に〔シールド〕張って、サンサと一緒に入ってもらいな。」
〚良いけどよ、ダリン達の許可取ったのか?〛
「これから、言いに行くよ。」
〚相変わらず、言うより先に体が動くタイプだよな。〛
「それって、褒めてないよね、逆だよね。?」
やばいと思ったのかドレクが、慌てて、
〚いや、褒めてる、褒めてる、行動が早くて、話が早くて、助かるぜぇ。〛
ララがじっと見ると、すっと目をそらして、羽で顔を隠します。
「いつの間にか人化が解けてるね。まぁ。良いけど。」
そう言うと、ダリンの方に向かいます。
〚やばい、やばい、あいつは横槍入れられると、怒るんだよな。
俺はどうも一言多くていけねぇ。〛
ララさん、ダリンの訓練場に向います。
次話:アセナとゼーロ




