805話 レミの部屋、ペーシュの部屋---修練場
レミの部屋、ペーシュの部屋--------修練場
「レミに貸出をたのまなきゃいけないですね。」
そう言うと、レミの部屋に向います。
面白いよね、普通は部屋玉に入るには門前を通らなきゃいけないのに、
レミの部屋玉に行くにはレミの部屋からじゃなきゃいけないんだよね。
どこからでも入れるのは私だけかな?レミ本人はOKだよね。
独り言を言いながら歩いて行くと、皆が訓練している所がちらほら見えます。
「おや、輪に成って座禅を組んでいるのは草たちですね。
導師はこりゃまた、ガネーシャさんですか。後からお邪魔してみましょう。」
レミの部屋に入ると、相変わらず雑然としています。
「う~ん、この状況はレミの精神構造を表している様にも見えますね。
まぁ、大概の人は、人の事言えないでしょうけどね。」
部屋玉の転移門の所で(入る)と念じると周りの風景がぱっと変わります。
「あじゃ~。前よりすごい事に成っています。
ペーシュが何も言わないのでしょう。」
「と言う事は、ペーシュの部屋もこんなもん?」
〚ゴホン!ララ様、何か御用ですか?〛
後ろから声がしてふりむくとペーシュ。ララは質問を無視して
「おぅ。びっくりした。今度オクタの街で警備隊の観閲式を行うんだ、
それでレミの鼓笛隊を借りようと思って、頼みに来たんだよ。」
ペーシュが眉間にしわを寄せて、剣呑な雰囲気です。
これは、ペーシュの琴線に触れましたね。
「この雰囲気も良いね。
縫い包みの中に潜ってお昼寝と言うのも夢がありそう。」
そう言った途端にペーシュの表情が180度変わりました。
結構な百面相ですよこれは。
〚そうでしょ、そうでしょ、これを分かってくれる人がなかなかいないのよ。
ララ、私の部屋に遊びに来て!〛
「そうね、残念だけど今はちょっと忙しくてゆっくり出来ないから、今度ね。」
やばいです。これ以上の混沌を見せられても、精神的に厳しいかも。
〚しょうが無いわね。あなた少し忙しすぎ、働き過ぎよ。そんな物放り出して、
ゆっくり、何も考えずに好きな時間を過ごさなきゃ、持たないわよ。〛
(いや~。でもペーシュの部屋ではくつろげないのは分るなぁ)
「そうだね、考えておくよ。所でレミは何処?」
〚レミー、ララ様よお!〛
ペーシュが大きな声を出すと。
(『ララ様、此処に。』)
レミがシュッタと音でも出そうに表れ、膝を付いています。
ララがおでこに手を当て、
「本当にお前は、さっきから、近くに居たのは分って居たよ。
呼ばれるの待っていたね。あざといねぇ。漫画だね。」
レミがそのまま、顔を上げれずに固まっています。
自分ではかなり決まったと思って居たのに、全て見透かされて、困っています。
何か言ってやろうかと思った時にペーシュが
〚ララ、レミ困っているよ。〛
それを聞いたレミは頭を下げ、中腰のままペーシュの後ろに移動。
”サササササッ”と音でも聞こえそうでした。
ララも、関わってらんないと思ったのか、無視して。
「レミ、今度オクタの街で警備隊の観閲式、まぁお披露目が有るんだ、
その時、あんたの鼓笛隊に景気づけしてもらおうと思って頼みに来たんだ。」
それを聞いたレミが、レミの前に来て、両手(指ないけど)でララの手を取り、
頭を下げて上下にぶんぶん振ります。
「わかった、わかったから、STOP、STOP、
ちょと止めて!止めと言っとろうがぁ!!」
反対の手で頭にチョップ。
離された手を振りながら、
「そんなに嬉しかったんかい。」
次話:レミの晴れ舞台




