787話 オクタの街ギルマスに城壁の通知
オクタの街ギルマスに城壁の通知
オクタの街の冒険者ギルドの前にテレポートで来たララさん、
いつもの様にドアを押して中に入ると。
居ました。極楽鳥のお兄さん。
ダンジョンの中で悪目立ちしないのでしょうか?
ララを見るなり立ち上がり、最敬礼です。
床にぽたぽたとシミが、オシッコじゃないですよ、冷たい汗ですね。
彼の名誉のために断っておきます。
それを、ちらりと見て、カウンターに行きます。
いつものお姉さんの所に行きますが、
『い、今呼びますぅ!』と叫んで、階段に向って走りながら、
『ギルマスぅ、ララ様でーーすぅ!!』
酷いですね、みんな、お化けかドラゴンでも
やって来たみたいじゃないですか。
”バン!”と勢いよくギルマスの部屋のドアが開き、
ララを見て応接室を指さします。
手を上げて了解の意思を示して、応接室に向います。
私が見えなくなった途端、大きなため息の大合唱です。
ぼそりと「勘弁して欲しいなぁ~。」とこぼすと、
”ゴクリ”と生唾を飲む様な緊張感が漂います。
応接室のドアの前にギルマスが立っており、
ドアを開けて、中に入れてくれました。
進められて、ソファーに座ると、秘書さんがお茶を出してくれます。
『ララ様、今日は・・・。』
ギルマスが恐る恐る聞いて来ます。
「ご主人様のお屋敷と、このオクタの街の周辺に城壁を作るから対応お願い」
ギルマスが目を丸くして、
『あの、聞き間違いだと思うのですが、今、城壁と・・・。』
「聞き間違いじゃないよ、城壁で合っているよ。」
『それは大変な工事に成るのでは・・・。』
「大丈夫、私と眷属達でやるから、期間は一週間も有れば大まかな所は
出来ると思うよ。大きさはこの街を中心に半径1Km位を予定している。」
『ら、ララ様。何処かと戦争でも起こるんですか?』
「ん?、ある意味戦争かな?、ダンジョンブレイクから街を守るんだよ。」
『ダンジョンブレイクぅ・・・』
ララからダンジョンブレイクと聞いた途端、目の焦点が合わなく成り、
ふわぁ~と倒れそうに成ります。ララがムービングで支えて、
ムービングハンドでほっぺをペシペシしながら、
「しっかりしなさい、それから守るために作ると言って居るのです。」
ギルマスが首を振って、落ち着けようとしています。
”ドテッ”と鈍い音がした方を見ると、
秘書さんが気を失って倒れましたね。
取り合えず、問題無い様なので放置、捨て置くとも言う。
気を取り直したギルマスが
『ララ様、それは何時起きるんですか?』
「一週間後かもしれないし、数か月先かもしれない、
でも一年以内には必ず置きます。
実際、ダンジョンでは何回かスタンビートも起きています。」
ギルマスががっくりと首を落とし、
『我々が手伝う事は無いんですね。』
「街の皆には、子爵様が街を守るために城壁を作ると言っておいて。」
「出来あがった後で、門番は私の眷属が行うから、
街の全員を集めて紹介、その後、お祭りでいいよ。」
『ふぅ~。』
ギルマスがため息を付くと、ゆっくり顔を上げ、
『ララ様、祭りと成ると金がかかります。
最近、お見限りで、魔物の素材が不足しているのですが、
お手持ちで結構です、何か無いでしょうか』
「あのねぇ、飲み屋じゃないんだから、お見限りは無いでしょうに。
う~ん、素材ねぇ、いいよ、下で出して置くよ。」
「じゃあ、今日はそんな所でいいね。
工事は明日か明後日あたりから始めるよ。」
そう言って立ち上がると、ギルマスが立ち上がり、ドアを開けようとしますが、
「それより、秘書さんを見てやりなよ。放って置くと後から恨まれるよ」
それを聞いたギルマスが、今気が付いた様に秘書さんを見て、
慌てて、駆け寄ります。
じゃあ、私は下に行っているよ。
そう言ってドアを開けた途端、それまでざわざわしていた喧騒が
ぴたりと止みます。ちょっといらいらしたララさんは、
階段の上から下に向って、
「私は、今もこれからも、あんたらに危害を加える様な事はしないよ、
そんなにびくびくされると、ドラゴンにでも成った気分だよ。全く。」
そう言うと、解体場の方へ歩いて行きます。誰ともなく
(ある意味ドラゴンより怖いよ、
ああ、この前、ドラゴン狩って来たしな。)
解体場に行き、グリフォンを一体出して、付いてきた職員に
「魔石だけちょうだい、後は全部売るから、
値段はギルマスが決める様に言っておいて、」
そう言うと里の自分の部屋に飛びます。
〔テレポート〕
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