783話 魔界と人間界とお父様。
魔界と人間界とお父様。
皆を見送ったララはヴラド子爵(お父様)、ご主人様の所に
城壁を作る許可を貰いに行く事にします。
本邸の前にテレポート、執務室に向います。ドアの前でノック、
「ララです。お願いがございます。」
ドアが開き、『入りなさい。』執事長が迎えてくれます。
礼をして室内に入り、執務机に向かっているご主人様の正面、少し離れて、
カーテシー、礼をしてから。
「お願い、許可を頂きにまいりました。」
何の許可かと少し考える様子がうかがえたので、
「此方、本邸とオクタの街周辺に城壁を作る許可を頂きにましりました。」
ご主人様が天を仰ぎ、
『それは王都の周りにあるような石の壁と言う認識でいいのかな?』
「はい、私が土魔法で行いますので、皆様にご負担はお掛け致しません。」
ご主人様が少し考える様に目を瞑ります。直ぐに目を開け、
『それはかまわないが、話しておかなければ成らない事が有る。』
そう言うと執事長の方を見て、
『セバスチャン、今日はここまで、にしよう。』
そう言うと、椅子から立ち上がり、ララ近付き、
『らら、出来れば、この前行った里のお前の館がいいのだが、』
そこまで言われて人に聞かせたくない話だと理解します。
「承知致しました。」
そう言うとご主人様をララの部屋玉に入ってもらい、「〔テレポート〕」
里のララ邸の前に飛びます。念話で里のクヌギだけには連絡したので、
門の階段に足を掛けると、ドアが開きます。
ドアが開くとクヌギがサッと横に移動、
『お帰りなさいませ、ご主人様』
「応接室使うから、お茶お願いね。」
お応接室に入り、お父様を部屋玉から出てもらいます。
ソファーに腰掛けると、ドアが開き、メイドがお茶の用意を始め、
お茶を出し終わると、後は自分が遣ると言って、メイドを下がらせます。
お父様がお茶を一口飲むと、
『ララ、いや、ルビ、これから話す事は血族以外には
知られてはならない事だと承知してくれ。』
「はい。」
『知っての通り、私は吸血鬼、お前はダンピーラだ。
では、魔族が何故人間界に居るのか、特に血を求める訳でもないのに。』
『古い話になる、先祖に人の女に恋した吸血鬼が居てな、女は魔国では
生きては行けないので共に人間界に住もうと、魔界、魔国を抜け出そうと
したのだが、見つかって、捕まった。通常なら死罪、消滅刑なのだが、
魔王がその吸血鬼の知識、英知を惜しがって、人の世界に住まわせ、
人間界の情報を、報告する役目を申し付けたのが始まり。』
『その吸血鬼は、より質の良い情報を得る為、人間界の爵位が必要と考え、
複数のダンジョンの発見で爵位を貰い、その管理を行う名目で、この地に
領地を得たのがヴラド家の始まりだ。』
『しかし、今は魔国とのつながりが消え、ダンジョンの管理をするだけに
成ったが、我々が魔族である事は人間に知られてはならない事で有るのは
変わりない。それがどうして、ルビを狙って来るのか分からんのだ。』
「お父様、お父様の疑問を説明するには、私が知っている事、
全てを話さなければ成りません。」
次話:ララの知り得た事、これから起こる事。




