746話 アルテミスとアテナ
アルテミスとアテナ
トコトコ歩いて、レマの休憩室の前に差し掛かると、
『あ~、ララしゃまだぁ』
アテナに見つかりました。
『見てみて、お絵描きしたのぉ』
近寄って見て見ると犬?と、一緒に棒を持って走っているのは、
女の子だね、ひょとしてアルテミス?
この娘はアルテミス?この犬は?
『うん、アルと、ワンコ、エレン。』
エレンはワンコですか。でも、一歳の子が絵を描ける??
レマが近寄ってきて、
『ララ様、この娘、絵が描けるんです。ちょっと怖くなってしまいます。』
「何も心配する事は無いよ、アテナの加護を貰ったんだから普通の子とは
違うよ、何も心配する事は無いよ、優しく大事に育ててね。」
『有難うございます。アルテミスもエレンの背に乗って、走り回って居ます。』
ララがありゃ~と言う顔をします。
「レマ、休憩室は、遣っているの?もう子守歌が必要にも見えないけど」
『いいえ、まだ一歳です、お昼寝は絶対必要です。』
きっぱりと言われてしまいました。これはこれで大丈夫ですね。
「アテナ、ママ好き?」
アテナがきょとんとしましたが、意味が解ると両手を広げて
『だぁ~い好き』と言ってレマに抱き着きます。
『あ、アルが帰ってきた!』
遠くの方で豆粒みたいなのが、ぐんぐん大きく成ります。
エレンの背から、ぴょんと飛び下りると、レマに駆け寄り。
『あたしも、だ~い好き』と言ってレマに抱き着きます。
アルテミスとアテナ、二人の間には会話も念話も必要ない様です。
感情も、感覚、も共有出来ています。もともと一人だったのを、
二人に分けたんですから、当たり前と言えば当たり前ですけど。
エレンが舌を出してはぁはぁ言って居ます。
「エレン、ご苦労様。」
『ら、ララ様、この子達本当に一歳ですか?ハァハァ・・・。』
「おや、アルテミスのお相手も大変かい?」
『ハァハァ、走っている私の背の上で立ち上がるんですよ。
ムービングで支えると、いらないと言うんです。』
「アルテミス、どうして、エレンの背の上で立ち上がろうとするの?」
『うん、そうしないと、弓が引けないから。』
「弓?・・・。もしかして、弓を仮想して引いているの?」
『うん、的当ての練習』
さすがアルテミスと言った所ですか、
「じゃあ、これ上げましょう」
と言って、以前作った子供用の弓と矢を取り出します。
「アテナにはこっちね。」
デッサン用の彫刻何点かと、鉛筆、クレヨン、画用紙を出します。
二人とも大喜びですが、エレンがあまり浮かない顔をしています。
「エレン、どうしたの?」
『私はいつまで、アルテミスのお馬さんしなければならないのでしょうか。』
「エレンもやらねば成らない事が有るんだから、
貴方の気が向いた時で良いんじゃない。アルテミス良いわね。」
アルテミスがしぶしぶ
『は~い。』
「じゃあ、今日はおしまいね。エレンいこう。」
このままだと、エレンが抜けれないと思ったので、
声をかけて、一緒にそこから出ます。
『ララ様、有難うございます。』
さて、次は、そうだ、クロウ丸
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