743話 あと2ヶ月で修練も終わり-サンチェス
あと2ヶ月で修練も終わり-サンチェス
さて、こちらはララさん。
修練場に入って10か月が過ぎました。
みんなの習熟度合いを確認して、仕上げをしなければ成りません。
それをもとに、Cパパの戦略構想も変わるでしょうからある程度の目途が
必要に成るでしょう。
ちょっと、覗いて来ましょうか。
等と思いながら歩いていると、サンチェスの修練場の前を通ります。
「あれ?何だ?」
おなかの出っ張ったおじさんが、鞭を避けて、上へ、下へ縦横無尽に
飛び回っています。見方を変えれば、鞭に弾かれた風船がポンポン
飛んでいる様にも見えます。
思わず見とれていると、訓練を中止して、飛び回っていたおじさんが
こちらに来ます。
「あれ?お腹凹んでいる。」
さっきまで風船人間だと思って居たのがスラリとしたナイスガイが
近寄ってきます。
『ララ様、お久しぶりです。』
「へ?おまえ、サンチェスかい?」
『へい、おかげさんで、こんなに成りました。』
と言って両手を横に広げます。
「鞭を避けていた風船人間は?」
『ああ、あっしでさぁ。この体じゃあ、向こうに帰った時あっしだと認めて
もらえない気がして、しばらく前の体形で居ようかと思いまして。』
「なに、そんな気を使っていたの、別に良いんじゃない。
生まれ変わりましたと言う事で、特に間違ってはいないし。
それにしてもさっきの動きはすごいね。」
『へい、加速のスキルと、ムービングハンドで避け切れない所を
はじいてたんでさ』
「ふ~ん、ハンドは何本出せるの?」
『二本行けます。』
かなり得意げです。
「その調子じゃあ、眷属の基本魔法はクリアできたね。」
サンチェスが胸を張って
『勿論でさぁ』
ララが少し離れて立っていたトート神に声をかけます。
「有難うございます。
こいつの体はどれ位のレベルに成ったのですか?」
〚うむ、その辺のダンジョンなら一人で走破出来るだろうし、
ララの眷属以外の人族で
こいつより強いのはちょっと居ないと思うぞ。〛
サンチェスの鼻が伸びています。ピノキオですね。
「サンチェス、そんなに鼻先を伸ばすと折れるよ。」
サンチェスが慌てて鼻を押さえます。
「トート様、修練も後2月程ですが、こいつの仕上げは?」
〚以前言って居た第六感、予知能力を鍛えてみようと思う。〛
「それはかなり難しいと聞きましたが、出来るんですか?」
〚簡単ではないが、それなりに仕える
レベルには持っていけると思うぞ。〛
「ふ~ん、ダンジョンの中で、危険回避率が上がるなら有効ですね。
よろしくお願い致します。」
〚うむ。〛
「サンチェス、あんたももう一息だから頑張んな。」
『へい、任せておくんなせ~~~い。』
「なにやってんの、見栄なんか切てないで頑張んな。
そんなんに成っても中身は変わんないねぇ」
そう言うと、トート神に一礼をしてサンチェスに背を向けて
出口に向かいますがその顔は笑って居ます。
次話:サンサの出産




