742話 欲と危険
欲と危険
ジョジがアザゼル公爵邸に着き、公爵に面会を求めると、応接室に通され、
暫く待たせると言われます。流石に座って待つわけにもいかないので、
椅子の傍で立って居ましたが、小一時間程も待たされました。
出直そうかと思い始めた頃、アザゼル公爵が入ってきました。
【待たせたな、すまなかったな。急ぎの用事があったのでな。】
そう言うと、ソファーにどっかりと座ります。
【予定ではもっと先では無かったのかな?】
若干のイヤミを無視して。
【公爵様、ヴラド邸を警備している狼を見張っておりました所、
どこかに転移している様子でしたので、そこへ侵入してみました所
とんでも無い事が解りました。取りあえず、これをご覧ください】
そう言うと箱を取り出し、中の蠅の頭を触るように言います。
触った途端、アザゼル公爵が渋い顔をします。
【巨大なオーガが居る先が狼達の巣だと思いますが、此処から先には
いけませんでした。公爵様も感じた通り、これは吸血鬼レベルの者が
出来る事では有りません。バックは神に近い者とご主人が想像しています。
付きましては、これ以上の強力は出来ないと言う事ですので、
ご了解下さい。】
(【怖気づきやがって、しかし、此処で逃がす訳にはいかんな。】)
【心配、いらぬ。ここで、計画を話すはずではなかったが、仕方がない。
要は、ヴラド家の娘、ルビを攫って来れば良いのだから、
複数のダンジョンをスタンビートさせて、防御も何も出来ない内に、
小娘一人拉致すればよいのだ。心配ない。しかし、この事が解ったのは、
とても役に立つ。この情報収集能力を貸してもらえぬか?】
ジョジと繋がっているベルゼブブが思案気に聞いています。
(【今、強引に協力を拒否するのは悪手だな、最悪ジョジを切り捨てれば良いし、
アザゼルの手柄を横取り、わしがルビを使って力を得るのも良いな。】)
ジョジに念話を飛ばします。
【公爵様、只今ご主人様より指示が有りました。
情報収集、情報の共有についてはご協力するとの事で有ります。】
【うむ、分かった、引き続きよろしく頼む、
ベルゼブブ公爵には宜しく言っておいてくれ、
ああ、この会話は聞いていたか。】
アザゼル邸を辞して、ご主人の待つお屋敷に向います。
主人の所へ行くと、
【ジョジ、このオオカミ広場の転移装置、此処だけでは無いはず。
何処に有るか徹底的に調べなさい、お前の報告にあった
ララと言うメイドが目撃された所、王都のヴラド分邸や
オクタの街の洋服屋、その他、目撃された所全て調べなさい。】
【この蠅が見た物は、情報解析班に回して、詳細に調査させなさい。
この件についてはお前をリーダーとした特別組織を作る。
アザゼルの所へ渡す情報は適当に篩に掛けたものでいい。】
流石は悪魔、流石は貴族、協力よりも横取りですか。
さてさて、ララさんは大丈夫でしょうか。
次話:あと2ヶ月で修練も終わり-サンチェス




