741話 蠅が見たもの
蠅が見たもの
屋敷に着き、ご主人、ベルゼブブに面会を求めると執務室に居るとの事、
急いで向い、ドアをノックし、
【ご主人様、ジョジでございます。蠅が戻りました。】
ドアが開き、執事の一人が戸を開け、礼をして、中に通します。
主人の後ろに立つと、
【蠅の記憶は見たか?】
【いえ、まだでございます。まずはご主人様に報告と思い、
蠅を回収して、参りました。】
そう言うと、蠅が入った箱を差し出します。
主人が受け取り、中を開けると、
【もう一匹はどうした?】
【はい、この一匹しか戻りませんでした。】
【そうか、】
そう言うと、蠅の頭に人差し指を当てます。と、みるみる顔が青ざめます。
主人が、蠅の入った箱をジョジに差し出し、
【お前も見てみろ、】
同じ様にジョジが人差し指を蠅の頭に当てると。
【こ、これは、何処でしょか?】
【おそらく、次元が異なる空間だろう、ダンジョンの中かもしれん、
大きさはさほどではないが、狼やカラスが出入りしている状況や
あそこの巨大なオーガを見るに、ここは通過点、
あそこは、この蠅さえも通れないフイルターが掛かったゲート
と言う事だろう、この先は、かなり大きな空間、
オオカミやカラス達の巣が有る所だと考えられる。】
ベルゼブブが少し考えてから、
【これだけの事が出来るとなると、ただの吸血鬼ではないな。始祖、
いや、吸血鬼の始祖がこれだけの事が出来るとは聞いたことが無い、
もっと高位の・・・。神に近い者かもしれないな。
まずいな、これは手を引いた方が利口だろう。】
ベルゼブブがジョジの方を向き、
【この画像をアザゼル公爵に見せて、手を引くと言って来なさい。】
【はい、直ちに】
ジョジがそう言うと、一礼をして、アザゼル公爵の屋敷に向います。
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