730話 アザゼル公爵邸
アザゼル公爵邸
アクセルの服に探査虫が隠れて、
アザゼル公爵邸に忍び込んだ画像が再生されています。
編集機は探査虫が登録された者に張り付いた後の
記録を優先的に再生します。
チュー太Dが編集機を操作して、屋敷の地図を作りながら、
早回しで内容を確認していきます。
応接室の様な所に案内され、しばらくすると、恰幅の良い、
着飾った服を着た悪魔が現れたので、
再生速度を標準にして、会話を聞きます。
【アクセル、此処に来ちゃいかんと言って居るのが判らんか。】
少しご立腹の様子。
【すいません、いやね、頼まれました素材、二度目となると、足が付きそうで、
色々と迂回させて、集めているもんで、金が掛かって仕方ないんでさ。】
【金を無心に来たのか、それなら、グラッセ男爵で事足りるだろうが、
何で、危険をおかして、此処に来る?】
【へい、金もそうですが、実は素材でどうしても集まらない物があるので、
代替品では駄目なのか、確認して頂きたいと思いまして。】
【それは儂では判らんな、丁度いい、今ゲメネが来ているから
ゲネメを呼んで来なさい。】
入り口に立っていた執事にゲメネを呼びに行かせます。
【うへぇ、ゲメネの旦那が来てるんですかい?】
【どうした、苦手か?】
【へい、睨まれただけで呪いを受けそうで。どうもいけません。】
【お前にそんな無駄な事をする訳がないだろう、心配するな。】
【無駄な事、無駄な事・・・・。】
どう受け取って良いのか判らずアクセルが混乱しています。
そうこうしている内にドアが開きゲメネが、音もたてずに入ってきます。
アクセルが首を知締めて、
【ほ~ら、幽霊みたいじゃないですか。】
ゲメネがアクセルの方を見ずに一言
【聞こえておるぞ。】
【アザゼル様、何か御用ですか?】
【うむ、そこのアクセルが、材料の代替が可能か聞きに来ておる。
聞いてやってくれ、儂では判らん。】
ゲメネがゆっくりとアクセルの方に首を回します。
アクセルが目を合わそうとしません。
【ゲメネ様、勘弁してください。】
【私は何もしていないぞ、早く要件を言え。】
アクセルが下を向いたまま、何もない空間から管の付いた赤い物を
幾つか引っ張り出すと、床にゴロゴロと転がります。
アクセルもマジックバックの権能を持っている様です。
【ゲメネ様、レッサーファイヤードラゴンの心臓ならば、
いくつか手に入るのですがファイヤードラゴンのは目途が立ちません。
これで何とかならないでしょうか?】
【アクセル、レッサーはいくら集めてもレッサーでしかないのだぞ、
金はいくらかかっても良いから、ファイヤードラゴンの心臓を持ってこい。】
ゲメネがアクセルとの話は、御終いとばかりに、公爵に向って話出します。
【所で、最近、力を溜めるのに使っていたダンジョンが三つばかり、
役に立たなくなって、調べていたのだが、何やらおかしな者達が
浮かんできた。
どうもヴラド子爵のメイドが動いて居ると報告されたのだが
何か心当たりは無いかな?】
【フム、たかがメイド如き、ほおっておいても問題は無いと思うが、
ダンジョンを攻略できるメイド?聞いた事がないな。
それが本当なら、かなり怪しい、勇者とか、とんでもない権能を持った人間
ならばいざ知らず、それは人間ではないかも知れないな。
此方からも当たりを付けてみるが、ゲメネの方からも引き続き調べてくれ】
【そうか、確かにな、人では無いとすると、悪魔か神界の者達と成るな。
ウーム、グリフォンの連中ならオクタの街に詳しい者もいるだろう、
引き続き、そいつらを使ってみる事にするか、】
そこで録画が切れます。
『ふぅ。』
チュー太Dが大きなため息を付きます。
(『これはララ様に知らせないとまずいですね。』)
チュー太Dがララに連絡を取る事にします。
次話:ララ魔国へ




