716話 ロッテの魔力詰まり。
ロッテの魔力詰まり。
「ロッテ、気分が悪いの?」
『何か、この辺がもやもやして、苦しいんです。』
下腹を押さえて、うずくまってしまいます。
「ロッテ、私と手を繋いで、」
どうやら、ララはロッテの魔力詰まりと判断したようです。
ロッテの両手を繋いで、魔力循環を行います。
「さぁ、右手からゆっくり魔力路流すよ、」
細く、糸のように魔力を流していくと、
「ん?、何だろ、これ。」
突然、魔力の流れがせき止められたように、停滞しています。
探って行くと、経路が切られたようになっており、その先へは
糸の様にしか流れて行きません。
(「アンドロイドでも、魔力の経路は、大きさも流れ方も、異なるので、
私は宿った魂により、個人差が出ると思って居ますけど、これは異常です。」)
ララがちょっと考えて。ロッテを自分と一緒に三重の〔シールド〕で囲います。
「ロッテ、此処は神界にも会話は届かないから、答えて。貴方、死んだ時
ここ刺されていない。YESなら首を縦に、NOなら横に振って。」
ロッテがびっくりした様にララを見て、思い出したように、
大きな涙を流し、首を縦に振ります。
「ごめんね。嫌な事を思い出させててね。私の目を見て。」
〔魔眼〕
「今の事、生前の事は全て忘れなさい。そして、今は眠りなさい。」
ロッテがことりと眠ってしまいました。
ララが部屋玉を取り出し、ロッテをかかえて中に入り、ソファーに寝かせ、
涙を拭いてあげます。
「生前の峻烈な記憶が無意識のトラウマと成っている様ですね。
記憶の一部改ざんは不整合が起きると色々とめんどくさい事に成りますから
刺された所だけ、忘れる様に、うやむやにしておくのが一番かなぁ」
「ロッテ、起きて、私の目を見て」
ロッテが薄っすらと目を開けます。〔魔眼〕
「貴方の生前の記憶、特に死んだとき、その原因は忘れて、思い出せません。
その事で悩む事が有れば私に相談しなさい。判りましたね。」
ロッテがコクンとうなづきます。
「それでは、私が起きろと言うまで眠りなさい。」
すうっと吸込まれるように寝てしまいました。
「さてと、経路の狭窄は広げて、私の魔力で固定しておきましょうか。
一ヶ月ほどで私の魔力も消えますけど、もう狭窄する事は無いでしょう。」
ララが10分ほどロッテの手を握り、魔力を流して治療を行います。
それが終ると、ロッテを抱いて、部屋玉から修練場に出て、
「ロッテ、起きなさい。」
ロッテが薄っすらと、目お開けてララの顔を見ると、はっとした様に目を見開き、
『ララ様、私どうしたんですか?』
「うん、ちょっと気分が悪く成ったみたい。急に沢山魔力を使ったので、
魔力障害が起きたみたい、大丈夫、直しておいたよ。気分はどお?」
それを聞いて、確認する様にちょっと目を瞑ると、
『大丈夫みたいです。何か、気分が良い出す。』
「前からそんなことが有ったの?」
『はい、魔力を使った後はどうしても
気分が悪く成ったりするので・・・。』
「それで嫌がったんだね。でも魔力詰まりは直しておいたから
もう大丈夫だと思うよ。また気分が悪く成る様なら、
私に相談してね。」
『有難うございます。』
ロッテがララをキラキラしたお目目で見ています。
「余り気にしないで、私は前のロッテの方がいいなぁ。」
(「何でもズケズケ言うロッテの方が面白いんだけどなぁ」)
次話:ロッテにシールド魔法の転写




