695話 クロウ丸とドレク
クロウ丸とドレク
さて、ララは。クロウ丸の訓練場の前に来ましたが、入ろうとはしません。
窓の横に引っ付いて、中の声を聴いている様です。
八咫烏が何か言ってます。
〚いいか、予知能力なんざ、神のそれもトップクラスの神でさえ
持って居るのは限られている。地上で蠢いているお前らなんざ
夢の中でしか持てないもンだ。
だがな、それらしいことは出来るぞ、要するに情報力だ、
どれだけ、情報を集めるかによって、相手の、あるいは全体の
動きの予想確率が上がるってもんだ、〛
『先生、でも俺は、』
〚まぁ、話を最後まで聞け。
お前は父っつあんとおっかさんがララちゃんの眷属だろう、
てぇ事は、お前自身、神力の影響をかなり受けているはずだ。〛
八咫烏がはっと気が付いた様に周りを見回します。誰もいない事を確認して、
〚ふうっ。やばいな・・・。最近どうも口が軽くて行けねぇ。〛
ぼそぼそ独り言を言ってます。
『先生?何か有りました?』
〚いや、何でもねぇ。
さっきのララちゃんの件は忘れてくれ、俺の言い違いだ。
で、だ、お前の能力の中に分身が有るんだが、気が付いているか?〛
クロウ丸がびっくりしています。
『初めて聞きました。ララ様にも言われていません。』
〚そうだろうなぁ、その権能は表に出ている、統率や指導力、英雄の影に隠れて
しっかり見ないと分からない所だからなぁ。
でもな。俺が一番すげえと思ったのはこの分身だ。
しかもお前の分身は自分と同じ者は勿論、小さい者を沢山作る事が出来る。
例えば、お前のその羽一枚が一つの分身体に成る。〛
〚そうした分身体を沢山放つ事で、戦況を確実に把握する事が出来る。
これは他の者が見れば予知能力と思われかねない物だな。〛
〚てぇ事で、今までは、飛行術や、空中戦、戦術に関してやってきたが、
此れから俺が教えるのはその分身の術を磨く事だ。〛
〚まずは、分身を一つ作って、意識を持たせる。
お前と繋がるのは勿論だが、自動運転も可能にする事。
出来たら、お前の使える魔法も出来る様にな。
最終目標は100羽の分身を作る事だ。
そして、分身が使える事は絶対秘密する事だな。〛
『えっ?先生、秘密ですか?』
〚そりゃそうだ、お前の隠密部隊なんだから、表に出ちゃあまずいだろう、
そうだ、一見してお前の分身だと分からない様に、
違う鳥に化けさせる事も考えて置け。〛
『・・・・・・・』
〚なんだ?不満か?〛
『いいえ、あの、ララ様にも秘密ですか?』
〚あの子は感がいいから、黙っていてもばれると思うが、
自分から言う必要は無い、しかし、嘘はつかない。ばれたら、疑われたら、
10羽以上は、カラスの分身が出来ます。位の返事でお茶を濁して置け。〛
『あの、それは嘘では・・・。』
〚バカ!それでもばれたら、
俺にそういう風に言えと指導されたと言って置け。〛
『はい、分かりました。』
クロウ丸は不承不承頷きます。
(『私はララ様の兵隊なんですから、
ララ様には言っておかないといけませんよ。』)
そんなやり取りを聞いた後ララは窓からこっそり離れます。
(「ドレクの奴、まるで私が神力を持って居る様な言い草をしていましたね。
つまり、私は神国の者であると言う事ですか、ふぅ~ん。
やはり情報を搾り取らないといけませんねぇ」)
そんな事を考えながら食堂に向います。
(「ふ~ん分身ですか、破壊されても、命のかかわることが無い分身端末、
しかも自分がそこに居るのと同じ情報収集力。これは使えますね。
危険な所に遠慮なしに入り込めます。本体と端末分身の限界距離が
分りませんが出来れば、スクロール化できると面白いのですがね。
孫悟空のお毛毛分身なんてね。」)
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