687話 クキ
クキ
「じゃあ、クキは?」
シオンとの会話は無かった事にしましたね。
『ララ様、クキの幻術に掛かってますよ。』
シオンが、ツンツンとララの腕を突っ突くと、
前に座っていたシオンとクキがふにゃり崩れて、霧散しました。
「えっ!?」
振向くと二人がニコニコと微笑みながら立って居ます。
「遣られた。!」
「私は多少そちらの耐性は有るのだけど、全く気が付かなかったわ。」
『はい、今は、闇御津羽神様に幻惑魔法を教えて頂いております。』
ララをだませたせいか、クキが嬉しそうに答えます。
「エーテル様ですか、玉とアンナも一緒だと思うんだけど二人も、
幻惑魔法教えてもらっている?」
『いえ、あの二人は、闇魔法が未完、全部覚えていないと言う事で、
そちらを優先しています。』
あれま、あの二人、今回2回目のはずですが、進捗が遅いですね、
後で、エーテル様に聞いてみましょう。
「クキは幻惑魔法どれ位出来るの?」
『一通りは出来るので、今は、どの様にしたら、少ない魔力で沢山、
広範囲の魔法が使えるか、検討している所です。』
「ふ~ん、じゃあ、最初っから幻惑魔法ドン!じゃなくて、
軽い催眠状態にしてから、幻惑魔法をかけるといいんじゃない。
催眠は魔法じゃなくても出来るからね。
キノコたちの眠りの胞子爆弾があるから、
此れの効果を弱めて、〔シールド〕で囲って
範囲に充満させれば、効率が良いんじゃない?」
クキのお目目がこぼれそうです。
『ラ、ララ様、そ、それ教えてください。』
クキがララに食いつきそうです。
「良いけど、まずは〔シールド〕を薄く大きくして、
城砦都市一つ位を囲む大きさに出来れば良いわね。
キノコの胞子を拡散させなければいいのだから、
薄く、出入り自由でも構わない。
練習してみて。シードは張れるよね。」
『出来ますけど、そんなに大きなものは遣った事が有りません。』
「そんなに難しくはないよ、で、風魔法は?」
『風魔法は覚えていません。』
「大丈夫だよ、クキは全ての魔法に適性があるから、
後からオト様に相談して。私が言っていたと伝えてね。」
『はい、』
「〔シールド〕の一番上で眠りの胞子のカプセルを開けて、
緩やかな風で胞子を拡散、充満させるんだよ。
胞子はシールドから多少漏れても問題無いからね。」
『はい、〔シールド〕ですね。判りました、頑張ります。』
『フンフン!』
鼻息荒く、やる気十分です。
『じゃあ私はエーテル様と相談してきます。』
クキが立ち上がって、訓練場に向います。
それを見ていたシオンも立ち上がって後を追うとしますが、ララが呼び止めます。
「シオン、貴方は、沢山の精霊んの加護を受けて居ます、
その複数の精霊たちと共にどの様な戦い方が出来るか研究して頂戴、
ちゅー子Cパパ、マウ元帥に相談するといいですよ、
過去の戦いの記録を見るのも勉強に成ります。頑張ってください。」
『有難うございます。』
そう言うとパタパタとクキの後を追います。
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