678話 魔神熊
魔神熊
おや、ベリア、熊たちの訓練場が隣ですね。
「あれ?ベリア達何処?」
熊が見当たりません。
あそこに居るのはアペフチカムイですよね。
アペフチカムイが話している立ち姿の綺麗な女の人誰?
トレーナー?
その、そばでは、子供が三人。
「あれ?食堂のおばちゃんじゃん。いや、似てるけど、ちょっと違う。」
アペフチカムイと話している女の人が、私に気が付いた様ですね。
此方を向いて、深々と礼をします。
「あれ?あの雰囲気。ベリア・・・」
思わず、口を開けたまま、見てしまいます。
アペフチカムイが此方を向いて、手招きしていますよ。
あのおいでおいでは何か含みがあるような気がします。
何が有るのかな?とにかく行ってみましょう。
しかし、ベリア、綺麗なお姉さんです。痩せぎすでもなく。
中肉中背、うん、健康なモデルさんみたいです。
子供たちは見た目ですぐわかります。
タロンは落ち着いた感じがします。
ジロンはこれは絵に描いた様な、やんちゃ坊主ですね。
ハナンは控えめなお嬢さんと言ったところでしょうか。
ベリアの傍に行くと、
『ララ様。アペフチカムイ様に加護を頂いた所、
進化と言うか、種族が変わった様です。』
「ん?鑑定。魔神熊??」
〚わしから説明しようかの〛
「えっ。」
驚いて振り向くと、ノーム、土の精霊神ガイア様が立って居ます。
『うわぅ。脅かさないでください。あ~びっくりした。』
〚おおぅ、すまんな、そんなに驚くとは思わ無んだよ。〛
「良いですけど、で、魔神熊って、私も聞いた事が無いんですけど。」
〚うむ、儂も初めてじゃ。〛
「あの、説明に成っていないんですけど。」
〚すまん、すまん、いやな、最初、
自然神のアペフチカムイが加護を与えたんじゃが、
わしも以前から、この熊たちを気に入っていてのぉ。
是非にと加護を受けてもらったのじゃ。〛
「ありゃ~。異なる神のW加護ですか、それで神族に引っ張られたと。
でも、私の眷属ですから、魔が抜けなかったとでも言うのですかね?」
〚流石、ララちゃんじゃ賢いのぉ〛
「あのね、そこでごまかして丸く収めようとする魂胆
見え見えですけど。皆、人化してますけど、どうなるんですか此れ。」
〚まぁ、心配ない。〛
「心配無い訳が無いから、心配しているんです。」
「あれ?間違ってないですよね。
否定の否定で肯定で心配であると、うん、良し。」
〚権能が沢山、降りての、まあ、しばらく使いこなす訓練をするとよいぞ、
人化は解消できるはずじゃ、たぶん。〛
そう言うと、ポンと音でも出そうに唐突に消えてしまいました。
次話:熊たちの人化




