677話 ムービング-
ムービング
ここは、速さも大事ですけど、せっかくですから、
ムービングの有用性も示しておきますかね。
だって、腕2本出せれば、二倍の速さ、
4本出せれば3倍の速さと同じ位の効果が有りますから。
「解りました。始まりの合図は・・・」
そこまで言った時、『私が遣るわ。』
ダリンとの話を聞いていたのか、サンサが、声をかけて来ます。
「じゃあ、御願いね。」
訓練場の中央に進みダリンと対峙します。
まずはダリンの速さを見てみましょう。
『始め!』
ダリンが此方に踏み込み、右手でつかもうとします。
おっ、結構早いですね。
棒を使って、手の甲を打ち回転して、回避します。
ダリンも撃たれた手の反対の手を伸ばします。
手がクロスしています。
私は上に飛び頭を打つのを止めて、
着したと同時に棒で足払いをします。
ダリンも少し飛び上がり、足払いを避けて体を回して手を伸ばします。
棒を回して、棒の先で伸ばして来た手の平を打ち、勢いを消すのと、
その反動で後ろに飛びます。
ダリンが力任せに更に伸ばして来た手の甲を打ち、少し距離を取ります。
速さは大体わかったので、ムービングを使って、さっさと終わらせます。
ダリンも体制を整えて、向ってきます。
〔ムービング〕伸ばした手を掴みます。
反対の手も〔ムービング〕で抑えて。
〔ムービング〕〔ムービング〕足も押さえると何も出来ません。
頭をコツンと棒で撃って押します。
『ララ様、ずり~や、それ。』
「あ~、気が付かないかな?」
『??』
「速度を上げるのも大切だけど、ムービングで腕を二本出せたら、
手数が二倍。単純に二倍の速度になったのと同じじゃない?。」
「4本出せれば3倍ね。
実際は、複雑な動きをさせようとしたら腕二本が限界だと思う。
でも、スピードを二倍にするのはとんでもなく大変だけど、
ムービングなら割と早く出来ると思う。」
「だから、ムービングも合わせて訓練して。」
ダリンが、『畜生、そう言う事か。よし、やってやる。』
気合が入ったね。良いですね。
「サンサも、腕二本出せたら便利だよ。練習してね。」
『ララ様、有難うございます。私はパワーがあまり出ないので、
速さを追求しようと思って居たのですが、
ムービング、これをメインに鍛えます。』
「いや、いや、体力や、速度をあげる事は大切だから、
そっちをメインでお願い。」
『はい。』
サンサが良いお返事ですが、本当に分かったのかな?
ムービングが仕上がったら、テレポートの訓練ですね。
短距離テレポートを連続で、発動呪文すら無しで出来れば、
近距離での戦闘は複数の敵に対しても負ける事は無でしょう。
トレーナーがニコニコしてみています。
アセナの分身かと思ったのですが、使徒の様です。
次は熊たちの所に行ってみましょう。
次話:魔神熊




