676話 ダリン
ダリン
訓練場に入ると、でっかい狼男が、胡坐を組んで、瞑想しています。
魔力を練って居ますね。
でもこれ、結構すごい量の魔力を循環させていますよ。
5分ほど見ていると、狼男がすくっと立ち上がり。
体に魔力を行渡らせたと思うと
『ガァ!』
気合とも、叫びとも言えない声を上げます。
全身から、空気がはじけ飛ぶような衝撃が来ます。
と、20m程先に有りました、高さ10m直径2m程の円柱、
岩?金属?に拳を叩きつけます。
衝撃波が飛んできて、思わず2,3歩後退してしまいました。
その後、立て続けに、蹴りや、肘、膝。頭突きで”ゴン”だって、
痛そうで思わず首が縮ました。あれ、ダリンだよね~。
狼男が此方を向てにたりと笑い、ゆっくり向ってきます。
と、変身を解くかの様に、体毛が短く成って、
「やっぱり、ダリンだね。」
『ララ様、如何したのですか?』
「いや、休憩がてら、みんなの訓練を見て歩いているんだよ。
凄いね、ダリンは狼男だね。先祖返りかな?」
『ああ、アセナ様が始祖様になった頃の種族に近いそうです。』
「なる程ね、パワーはドラゴンと渡り合える位には強いけど、
スピード、速さはどうなの?
どんなに強い一撃でも当たんなきゃ意味ないからね。」
『はい、前回はパワー、今回はスピードをメインにしたいと思います。』
『所で、ララ様、模擬戦やってみません?』
あっ、こいつ、ちょっと自信が付いたので、試したくてしょうが無いんだね。
「良いよ、ルールは?」
『俺がララ様を捕まえる。範囲はこの訓練場。』
「私が逃げるだけじゃあ面白くないから
私が、この棒でアンタの頭をひっぱたいたら、私の勝ちね。」
そう言って、1m程の麺打ち棒を取り出します。
ダリンの右目がピクリと動きます。ちょっと気合が入った様です。
次話:ムービング




