666話 特番:クリスマス前夜
神界
回る回る、輪廻の螺旋、生を全うした魂は輪廻の螺旋の流れに戻り、
長い時間をかけ、善も悪も、汚れも、全て混ざり、浄化され、
均一に成って中心に落ちる。
その中心には大きな窯に乗った、これまた大きな壺。この中でとろとろと
熱の無い神の炎で煮込まれ、熟成してゆくそうな。
時が来て、再び生を受ける為に、壺が開けられる時が来る
ここは神界の奥、小高い丘の上に有る小さな神殿、誕生を司る所、
今、輪廻の中心、混沌の壺が熟成し、開けられる時が来ました。
そこから命の流、魂の源流が今まさに、流れ出そうとしている。
〚さて、今回はアルスの星、人族の誕生ですね。〛
豊満な、円熟した女性、が独り言を言いながら、窯の前に向います。
マグナマテル、地母神の様ですね。
壺を少し傾けると、さらさらと、ピンクの液体が壺から流れ出します。
其処に、女神が何処から出したのか、手から砂の様な微細な粒を、
少しずつ流の中にこぼし入れて行きます。
すると、その砂の様なもの一粒一粒を核にして、壺から流れ出した、
ピンクの液体がコロコロと小さなタマに成り、やがて流砂の様に成り、
丘を下り、滝の様に流落ちたかと思うと途中で消えていきます。
おや?、滝の上の岩陰に、小さな子供が、背中に羽が生えています。
キュ-ピットでしょうか。肩から下げた小さなポーチの中に手を入れ、
小さなビー玉の様なものを取り出し、砂の流れの中に投げ入れます。
更にもう一つ、そこで地母神、女神であるマグナマテルに見つかり、
捕まって仕舞います。
〚これ、何を入れているの?その流れに神界の物を入れてはいけないと、
言っているでしょう。人の世の理から外れる者が生まれてしまいます。〛
マグナマテルがキューピットが持って居た物を取り上げてみると。
〚あなた、これ、神具じゃない、この波動はウェスタの持ち物ね。
これはウエスタに頼まれたのは分るけど、最初に投げたのも、
ウエスタに頼まれた物だったの?〛
キューピットが首を横に振ります。
〚じゃぁ、誰?、こんなの持って生まれたら、
生まれながらのアポストロね。 誰なの?〛
キューピットがしぶしぶ〚ヘスティア様〛
〚ウエスタとヘスティアが人界に干渉する様な事を?・・・
もしかして〛
そう言うと、キューピットを抱えたまま、歩き出します。
〚大体、誰が持つか分からないんじゃあ、意味が無いじゃない。
え?誰が持つか決まっているって?〛
キューピットが何やら得意げに話しています。
〚あれを持った者は修練場に居る人狼族の夫婦の赤ちゃんと成るんだ。〛
マグナマテルが
〚そんな手の込んだことをしたの、その夫婦は今神界でも話題の夫婦よね。
でも、何故って、・・・ああ、あの娘かぁ。
ウエスタとヘスティア、二人と仲が良かったからねぇ。〛
マグナマテルが創造神の所に行き、状況を説明すると、
〚しょうがないのぉ。取りあえず見守るしかないわな。
ウエスタの神具はわしが預かって、後から返しておくよ。〛
〚二人にはわしから一言言っておくから大丈夫じゃ、
まぁ、そっとしておいてくれ。〛
そう言うと下界を監視する仕事に戻って行きます。
〚心配なのはわかるけどね、みんなには詳細の説明は出来ないから仕方ないね。〛
マグナテルも、詳細は知っている様ですが、
箝口令が敷かれていますからね。
さて、一方神具を貰った魂は、ふよりふよりと漂って、
修練場の方に落ちて行きます。




